昨日うまくできなかった塩漬け鱈のブランダーデ、再生ミッションは成功裡に終わりました。北欧の、じゃがいもとイワシに似た青魚を重ね、生クリームとチーズをかけてオーブンで焼く「ヤンソンの誘惑」という料理を真似て、ゆでて粉ふきいもにしたじゃがいもと、昨日の似非ブランダーデを三層に重ね、プランターで瀕死の状態のローズマリーから血も涙もなく毟ってきた(笑)葉っぱをぱらり、さらに魚の臭み消しのためにガーリックパウダーもぱらり、さらにさらに冷蔵庫の奥で眠っていたパルメザンチーズもぱらり。雲突くような高カロリーのなんちゃってヤンソンの誘惑完成です。
本当は、仕事から帰ってきたパトリックと二人で、ミシガン湖のビーチまでひとっ走りしてピクニックにしようと思っていたのです。冷蔵庫で冷やしたラタトゥイユに、これもしっかり冷やしたシャブリを一本、それにこのヤンソンの誘惑があれば、なんだかリッチなピクニックじゃない、という私の目論見はしかし、「ビーチで飲酒禁止」というなんとも無粋なパークディストリクトの方針により、もろくも崩れ去ったのでした。あーあ。
1930年代には禁酒法まで制定してしまったような国なので分からなくもないですが、アメリカって意外と飲酒に関してはうるさいのです。ビールかっ喰らってバーベキューするのがお国柄かと思いきや、建国当初のピューリタン的なところはアルコールを巡る法制度の中に健在。未成年の飲酒に関しては、見て見ぬ振りの(っていうか、ある意味大人が後押ししちゃうような)日本とは比べ物にならないくらい厳しいんです。他にも、公共の場所でお酒飲んじゃだめ、とか、町によっては日曜日にはお酒買えません、とか(安息日に飲酒とは何事か、ということらしいです)。満開の桜の下とか、ススキのゆれる満月の下とかで宴会なんかしちゃう日本人からすると、ちょっと寂しいんですよね、こういうの。公園の近所に住んでいる人にとっては、怪しい男どもが集まって、酔っぱらってわいわい騒がれては困る、というのは分からないでもないですが...なんせ、普通の人が鉄砲持っていたりする国ですから、酔っぱらってそんな物振り回されちゃ大変ですよね。
で、仕方なくビーチで飲んだくれ乾杯計画は中止(飲んだくれって...私はグラス一杯以上飲めないし、パトリックはいくら飲んでも酔っぱらわないので、飲んだくれにはなかなかなれない二人なんですがね)。裏階段の踊り場に椅子と折りたたみ式の小さなテーブルを持ち出して、気分だけピクニックにしました。(背景はアパートの外壁...)
参考までに、ブランダーデの作り方です。この量で、上に書いたヤンソンの誘惑もどきが二人分強できます。
塩漬けの鱈は、冷たい水を時々換えながら、冷蔵庫で24時間以上戻します。鱈によって塩気も乾燥度合いも違うので、ちょうど良い頃合いを見るには、端っこを切って焼いて食べてみるしかないそうですが、私はめんどくさいので一晩と二日戻してそのまま使ってしまいました。鱈が戻ったら、お湯を沸かし、8分ほど茹でて、ざるに揚げて水気を切っておきます。別のお鍋にオリーブオイルを入れ、煙が出てくるまで熱します。細かく裂いた鱈をこの鍋に入れ、木か竹のスプーンなどでせっせと鱈の身を崩します。最初の数十秒は油がはねますが、そのあとは落ち着くはず。手で崩すだけでは大変なので、スティック式のミキサーを使ってもOKです。鱈の身がだいたい細かくなったら、今度は暖めておいた牛乳を少しずつ加え、オリーブオイルと乳化させます。レシピによってはじゃがいもを入れたり、ニンニクで香りをつけたりするようですが、私が参考にしたレシピは本当にこれだけ。昨日も書いた通り、レストランで食べたブランダーデのようにはクリーミーになりませんでしたが、ヤンソンの誘惑風のグラタンにして食べる分にはこれで十分以上でした。
ちなみにワタクシ式似非ヤンソンの誘惑は、と言いますと...
じゃがいもは3ミリほどの薄切りにして、塩ゆでにする。耐熱容器に、茹でて水気を切ったじゃがいもとブランダーデを交互に重ね、最後にパルメザンチーズ、ガーリックパウダー、それにローズマリーのみじん切りをたっぷり振って、180度(華氏なら350度)のオーブンで焦げ目がつくまで焼く。出来損ないブランダーデが手元になければ作りたくないような、コロッケ並みに手のかかるレシピですが、出来上がったジョンソンの誘惑(アメリカで作った偽ヤンソンの誘惑、ということで...笑)はかなり満足度高し。ほくほくのじゃがいもに塩漬けの鱈の旨味と牛乳のコクが加わり、さらにローズマリーとガーリックが利いて、なんだか心の底からほっとする味になりました。ヨーロッパの田舎のおっかさんが作ってくれそうな料理です。幸い今日は風もあって、そんなに気温も高くない爽やかな日だったので、きーんと冷やした白ワインと一緒においしくいただきました。
ゆっくりと西の空に広がっていく夕暮れの黄金色、南のほうにむくむくと湧き立つ入道雲。近所の家の庭にそびえる大木たちの葉摺れの音を聞きながら舌鼓を打っていると、すぐそばの電線に喉の赤いハウスフィンチのつがいが来て、ひとしきり鳴き交わしてから飛んでいきました。なんて贅沢な時間だろう、と、酔いの回った頭で思います。大事な人と、おいしいものを分け合い、同じ景色を見て感動できるって、素晴らしく幸せなこと。(全く、こんな歯の浮くようなこと書いちゃって、まだちょっと酔っぱらってるかな...でもほんとのことですよね。笑)
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