いつになく活動的に過ごした今週末の幕開けは、リンカーンパークで開かれるファーマーズマーケットでした。早起きして、ミシガン湖沿いの自転車道を自転車で...とも考えていたのですが、起きてみるとあまりにも風が強く、この計画は断念。シャワーを浴びて車に乗り込み、一路南へ。いつもはマーケットに出ているパン屋さんでパンを買ったり、その場で焼いてくれるクレープを買ったりして朝ゴハンにするのですが、そうすると駐車料金が四ドルですむ一時間以内に全部済ませなければ、といつもバタバタしてしまうので、今回はマーケットでの朝食はパス。(ファーマーズマーケットの主催者のブースで駐車券にハンコを押してもらうと、最初の一時間が本来12ドルのところ4ドルにおまけしてくれるのです。それは嬉しいのだけれど、かなり大きなマーケットをゆっくり見ていると一時間くらいすぐに経ってしまい、いつも焦ってしまうノロマな私たちなのです。)
つい二週間ほど前に初物が出たと思ったのに、もう「今シーズン最後だよ!」と農家のおじさんが声を張り上げるサクランボ。日本にアメリカンチェリーとして出回っているものは一種類しかありませんが、ファーマーズマーケットに来ると本当にいろんな種類があります。透き通ったルビーのようにきれいで、触ったら弾けてしまいそうに柔らかい、製菓用のサクランボがあるかと思えば、深い紫の身の締まったものがあり、その隣には、こんな佐藤錦みたいな斑のも。大きな生産者になると七種類くらい、みんな違ったサクランボをどっさり並べて、食べ比べさせてくれたりします。スーパーに行くと夏の間は常にサクランボが手に入るので、旬が一月ほどしかないことにも気付かずに通り過ぎてしまいそうですが、本当はとっても貴重なものなんですね。チェリーパイとクラフティの成功に気を良くして、もう一山買って、パトリックと二人でせっせとタネを取り(これが大変)、冷凍にしました。
こちらは、朝採りのインゲン。淡い翡翠の緑に朝の陽が透けてとってもきれいで、つい巨大なかごに一杯買ってしまいました。夕方になってヘタを取ろうと触っていて気付いたのが、何とも繊細な産毛。スーパーで買った、何千マイルもの旅をしてきたインゲンではこうは行かない、とまた感心。朝採ってすぐにマーケットに出すからこそ、の新鮮さなのです。きゅうりのトゲトゲが新鮮さの印なのと同じですね。ぴん!と立ったしっぽも凄いでしょ。
こちらも、今が旬真っ盛りのスクワッシュ。どこの農家でも、山のように積み上げて一本50セントなんかで売っています。私はそんなにスクワッシュ好きではないのですが、パトリックがスクワッシュを見ると興奮するので(イヤ、そういう意味じゃなくて...笑)、時々買ってきて、グリルにしたりラタトゥイユにしたりします。そんなにおいしいもんでもないと思うんだけど...ズッキーニとどこが違うのかよくわかりません(笑)。いずれ、韓国カボチャの代わりにサマー・スクワッシュを使ってナムルを作ってみようかな、とも思っています。
旬の過ぎるものがあれば、新たに旬になるものがあるのが自然の巡り。そろそろ季節も終わりのサクランボや、もはや全く見かけないアスパラに代わってこの時期登場するのが、「フィンガーリング・ポテト」という小さくて細長いじゃがいもたち。大規模な農業会社は見向きもしない品種ばかりですが、色から歯触りまでそれぞれに個性があって、味もそんじょそこらのじゃがいもとは比べ物にならないくらい濃くて、とてもおいしいじゃがいもです。(しかも可愛い!)今回は濃い紫のパープル・ペルヴィアン、淡い赤のフレンチ、それに黄色い実に薄茶色の皮のロシアンなどを取り混ぜて買ってみました。(一ポンド四ドルなので、一キロ百円弱くらいです。)とにかく色がきれいなので、薄切りにしてバターでソテーしても、サラダにしても、プレゼンテーションのインパクトは最高。それ自体でおいしいし、見た目は良いし、へなちょこシェフにはもってこいのじゃがいもです。
じゃがいもの隣にあるのは「ファイアリー・フュリー(炎のごとく燃え盛る怒り)」という何とも物騒な名前の桃。この桃、赤みの強い皮の色からついたという名前は凄まじいですが、ごりごり固くて何の味もしないような桃ばかりのアメリカ中西部で、ひょっとしたら一番おいしい桃かも知れません。皮を剥いていると肘まで果汁が伝ってしまうくらいジューシーで、しっかり桃の味がして、一昨年この桃を買って以来、うちでは他の桃に文字通り全く食指が動きません。グリーンシティ・マーケットに行くことがあったら、ぜひ試してみてください。マーケットの南東の角(ダウンタウン側の湖に近い側)に、いつもお店を出している農家の人たちが売っています。
両親の家の裏庭に生えている青リンゴが熟すのはまだまだ三ヶ月くらい先、母の誕生日の頃の話ですが、ファーマーズマーケットにはもう気の早いリンゴが少し出ていました。この間もちょっと触れたバーバラ・キングソルヴァーのAnimal, Vegetable, Miracleに、トマト農家の話として、「夏中トマトを食べていた消費者は十月まで収穫できる遅いトマトに高いお金を出そうとはしないけれど、長い冬のあと、四月の終わりに取れる早いトマトには二ドルでも三ドルでも余分に払ってくれる。消費者が新鮮な野菜を待ちこがれている時にそれを提供するのが、利益率を高めるには一番」ということが出ていましたが、野菜でも果物でも、農家同士で競争なのでしょうね。
そんな、ファーマーズマーケットに行った日の、野菜たっぷりの夕飯です(残り物も入ってますが...汗)。てっぺんが、ルッコラと新タマネギのサラダ。真ん中は言わずと知れた夏の味、とうもろこし。パトリックが皮を剥いてホヨホヨの毛を取ってくれたのをさっと茹でて、フライパンで空焼き。バター醤油で香ばしく。下の左側は、いつぞやの残りのラタトゥイユにクミン、カルダモン、マスタードシードを加えてカレー風味にしたものに、ソテーした鶏肉をあわせて。右側は瑞々しいインゲンをベーコンの油で炒めたもの。新タマネギも少し入っています。ダウンタウンにあるベーカリーカフェ・チェーンのAu Bon Painのサラダバーにあるインゲンのサラダをまねして、スライスしたアーモンドも少し。ほとんど野菜ばっかりだったけれど、満足感があるのはやっぱり一つ一つの素材がおいしいから。トウモロコシにはこれがないとね、ということでビールも飲みました。あ〜幸せ、な夏の夜。
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