昨日行ったVoloのアンティークモールの話を書こうと思っていた今日。ところが、引っ越し目指していらない物を捨てるべくゴソゴソしていて、台所の引き出しでちょっとした物を見つけてしまったので、路線変更です。これもある意味アンティークだし...。アンティークモールもとても面白かったし、戦利品もあるので、いずれまた書きますね。
で、何を見つけたかというと、これ。サッポロビールの景品らしき、栓抜きです。たかが栓抜き、と言うなかれ。何しろここは日本から6000マイルは離れた異国の地、しかも所有者は正真正銘のアメリカ男児(最近パトリック=日本のおっさん疑惑はありますが...笑)。去年私と一緒に里帰り(?)した以外は日本に行ったこともないはずのパトリックが、いったい何故サッポロビールの栓抜きを持っているのやら。しかもこの栓抜き、かなり古そうなんです。昔おじいちゃんがこんな栓抜きでビール開けているのを見たような気がするんですが、ついているタグがまた古そう。片方は「リボンシトロン」なる清涼飲料水らしき名前に、そのPRキャラであると思われる大きなリボンをつけた女の子の絵がついていて、もう片方はサッポロラガーの缶のデザインになっているんですが、こんな缶見たことないぞ!というレトロなデザイン。一体いつごろの物なんだろう、と気になって、ちょっと調べてみました。
まずはこの「リボンシトロン」、私はてっきり昭和の頃に作られていてもう何年も作られていないような物かと思いましたが、なんとびっくり今でも売っているそうです。もっとびっくりなのは、その歴史の古さ。明治42年に、健康飲料として初めて製造されたんだそうです。確かにその頃のヨーロッパでは、温泉地などの自然に二酸化炭素を含む水を健康のために飲んでいた、と聞いたことがありますが、まさか明治時代の日本に炭酸の入ったソーダを売っていたとは思いもしませんでした。なんともハイカラではありませんか。
栓抜きのタグについていた女の子(リボンちゃん、というらしい)は、昭和32年に広告用に採用されたそうです。このディック・ブルーナの絵を彷彿とさせるリボンちゃん、最近になって広告に復活したそうなので、日本にお住まいの方はご存知かもしれませんね。ニュージーランドでその当時放映されていたアニメのキャラクターを少し改良した、ということですが、今そんなことをしたら早速著作権の侵害で訴えられてしまいそうです。のどかな時代だったんですね。このリボンちゃんがタグについているということは、問題の栓抜きが作られたのは昭和32年以降、ということになります。もう少し年代を絞れないかな、ということで、もう片方のビール缶のデザインの方も調べてみました。(グリーンカードを申請中の関係で労働許可のない私、時間だけはたっぷりあるんです...涙)
真っ赤な北極星に、金色のS字カーブが缶全体を青と白に二分するなんとも昭和モダンな感じのデザインは、母の古〜い料理本の広告ページに出てきそうな雰囲気ですが、なんと高名なアメリカの工業デザイナー、ウォルター・ロンドー氏がデザインした物なんだそうです。(日本航空のマークや、WWFのパンダのマーク、さらにはセヴン・アップの缶やケロッグのコーンフレークの箱などをデザインしたのもロンドー氏です。どうやら、ブランド認識と商品デザインを戦略的にリンクさせるというアイディアの先駆者だったらしいです。)それまで瓶しかなかったサッポロビールが、缶入りを採用したのは1959年。初期の缶にはプルタブがついていなくて、ビールを飲むには缶切りで二カ所に穴を開け、コップに注いで飲んでいたなんて、知りませんでした。よく見ると、栓抜きのタグの缶にもプルタブがありません。オリジナルの缶のようです。と、言うことは、この栓抜きはプルタブ缶が導入された1965年以前のもの、という可能性が高そう。
そんな、少なくとも40年以上も前の日本の栓抜きがどうしてアメリカにあるのかは依然謎なのですが、一番怪しいのはパトリックのおばあちゃん。若い頃にお掃除サービスで働いていたという彼女、顧客にもらったという妙な物をたくさんパトリックに遺しているのです。タイ製の、先に小さな仏陀の座像がついたカトラリーのセットとか、像を載せても壊れないくらい頑丈な、とんでもないオレンジ色の机とか。なぜか使い込んで茶色くなったササラまであって、付き合いだした当初にこれを見つけたときは笑ってしまいました。くれる方もくれる方だけれど、使いもしないのにとっておく方もとっておく方だな、と。でも、こんな妙にアジアンな物たちを遺していったパトリックのおばあちゃんなら、ひょっとしてサッポロの景品の栓抜きを持っていても不思議はないかも、と思うのです。だいたいそんな昔にサッポロビールがアメリカに輸出されていた、なんて話も聞かないし...。
ともあれ、なんだかおばあちゃんの、今は取り壊されてしまった家の狭い四畳半に鎮座していた古い安物の茶箪笥を久々に思い出させてくれたこの栓抜き(その茶箪笥の二段目の引き出しに、おじいちゃんの栓抜きが入っていたはず)、必要度は限りなく低いけれど、捨てられません。いつもパトリックがしょーもない物を捨てないのでカッカしているのに、これに関しては私がpack rat化。(ネズミが巣の中に食料を溜め込むように、家の中にどんどん物が溜まっていく人のことをアメリカではこう呼びます。なんだか微妙に可愛いイメージですよね。)この栓抜き、せっかくレトロな可愛いタグもついているし、なんとか飾れる方法を探してみるかな...。
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