2007年07月26日

ピザ屋でいただく至高のフリット

シカゴのガイドブックを読んだことのある方ならご存知だと思いますが、シカゴ名物の一つにディープディッシュ・ピッツァというのがあります。深さ三センチくらいの鋳鉄のピザ焼き皿に生地を敷き詰めて、その中にトマトソースと具、それにチーズをどぉーっさり詰めて焼いたもの。薄めの電話帳くらいはあるその厚みのほとんどはチーズなわけで、一切れ食べきる前にお腹いっぱいになってしまうくらいの重いピザです。こちらに来たばかりの頃に、私もジョルダーノスとか、ジノズ・イースト、それにピッツェリア・ウノなど、いくつかディープディッシュ・ピッツァの有名なお店に行ってみましたが、正直言ってお金を払ってまで(もしくは余計なカロリーを摂取してまで...笑)食べたいものじゃありませんでした。そんなに大量にチーズを入れるんなら、もっとおいしいチーズを使えば?とか、ちょっと意地悪なことを言いたくなったりして...。

そんなピザ砂漠のシカゴですが、最近になって激ウマピザ屋をいくつか見つけました。なんと言っても堂々第一位は、イタリアからピザを焼く窯(と、そこでピザを焼く職人)まで直輸入したというこだわりのスパッカ・ナポリです。このピザ屋さん、日本のおいしいピザ屋さんにも全然負けてません(って比較の対象が変ですが)。イタリアで食べたピザにも引けを取らない、まさに掃き溜めの鶴的存在。ところが、いかんせんあまりのおいしさに、いつ行ってもおバカな私は写真を撮るのを忘れてしまうのです(いつもおいしいワインで酔っぱらってるから、という噂もあり)。そう言うわけで、スパッカ・ナポリのお話はまた今度。

で、今日の本題は、エヴァンストンにあるピザもおいしいイタリアンレストラン、トラットリアD.O.C.です。D.O.C.というのは、イタリアの地場産物の品質管理システム。日本でも地鶏の銘柄を全く関係のない会社が勝手に使ったりして問題になったりしましたが、そういうことを防ぎつつ、地元で長い時間をかけて培ってきたワインやチーズ、サラミなどの品質(とその生産者)を守っていこうというものです。そんなD.O.C.をお店の名前に採用するくらいなので、このトラットリア、きっと食材にはこだわっているはず(と、私は勝手に思っています)。

Rosemary Potato Pizza

パスタもセコンドも何でもおいしいトラットリアですが、ここのおすすめは何と言ってもピザ。生地が違います。「外側」とか「中側」と格別できないくらいの薄生地なのに、それでも外側はぱりぱり、中側はモッチリの偉業を達成しています。所々ぷっくり膨らんだところが焦げて、それがまたおいしいんです。今回はソースなしのローズマリー・ポテトピザを頼みました。じゃがいもの土臭い甘みにローズマリーの香りがぴりりと利いて、もう最高。じゃがいもの端っこが焦げたところはまるで自家製ポテトチップみたいにカリカリで、イモ好きイモねえちゃんとしては口福の至りです。とろけたモッツァレラチーズはバターみたいな深みのあるこくがあって、言うことなし!

Fiori di Zucca

おいしいピザもさることながら、今回の発見はスペシャルメニューの中から頼んだfiori di zucca、ズッキーニの花のイタリア風天ぷらでした。(イタリア風天ぷら、なんて言うとどうも垢抜けませんが他に言い方が思いつかない...やれやれ。)酢の利いた爽やかなサラダの上に載って出てきたフリットは、中にモッツァレラチーズとアンチョビが入っていて、単体では特に癖のないズッキーニの花が、とっても面白い味になっていました。アンチョビの塩気と、かすかな海の味がなかなかいいんです。イタリアではリコッタチーズと卵黄を混ぜたものを詰めるらしいので、このD.O.C.バージョンはほっこり系の本家よりも少し冒険心旺盛な感じですね。衣も、ふんわり軽いのにモッチリ感があって、とてもおいしかったです。そんじょそこらの天ぷら屋で食べる天ぷらよりいけるかも...。

Fiori di Zucca

中を切ってみると、加熱して濃くなったズッキーニの花の黄色が、モッツァレラチーズの柔らかな白に映えて、とてもきれい。目にもおいしい前菜でした。今回はパトリックとシェアしましたが、これなら一人で一皿軽くいけちゃいます。いや、いっちゃいけないんですが。去年ここにきた時にイカのフリットを頼んで、あまりのおいしさにびっくりしたのですが、どうもこのレストランは揚げ物がとても上手なようです。イカのフリットも、ちょうどいい塩味が利いていて、衣はさくさく、中のイカはあくまでも柔らかで、タダモノの技ではありませんでした(笑)。アメリカでイカのフリットを頼むとだいたいマリナラ・ソースが付いてきますが、そんなもの付けなくっても十分いける味。こちらは通年メニューなので、ズッキーニの花を逃してしまったら、お試しあれ。

もう一つ頼んだ前菜、牛肉のカルパッチョは、新鮮なルッコラとこくのあるパルメザンチーズがごっそり載っていたのは嬉しかったものの、レモン汁の味がお肉の味を完全に消してしまっていて、ちょっと合格点はあげられませんでした。でもそれも、他が完璧だから目立ってしまう瑕疵、という程度のもの。D.O.C.では、ほぼ何を頼んでも外れはないと思います。涼しくなってきた夕刻、歩道に出したテーブルで湖からの風を感じつつ、おいしい前菜をつつき、ワインを飲んで、ちょっと酔いが回ってきた頃に出てくる熱々のピザを食べる幸せはシカゴの短い夏ならでは。自然光だと、写真もきれいに撮れるしね。

Rosemary Potato Pizza
最後の一切れまで堪能...

Posted by Yu at 2007年07月26日 15:44


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