2007年06月22日

裏山(?)に苺採り

On the Way to a Strawberry Patch

シカゴ郊外の住宅地に住む両親の家の裏が、今は廃線になった貨物列車の線路になっています。廃線になってもう五、六年経つそうで、かつてこの辺りはみんなそうだったという、背の高いガマの揺れる湿地と、これまた背の高いデイジーやアザミが咲き競う草原が、線路に沿って延々とのびて行きます。初夏のこの季節、東側の湿地には、眼の醒めるような朱色が肩に美しいブラックバードが営巣し、西側の小さな林からは鹿が子供をつれて草を食みに出てきたりします。ミツバチがぶんぶん輪を描き、モンシロチョウがふんわりと野の花に着地する脇を、戦闘機のようなごっついトンボがすうっとかすめて通ります。十分ほど南に下がった広い草地は、野兎たちの夕食の場。私が近づくとみんな白いお尻を振って逃げてしまいますが、遠くから見ていると、緑滴るクローバーをほおばって、モゴモゴやっています。

この廃線路沿いのプレーリー(アメリカ中西部に広がる大草原)、バードウォッチングにも最適なのですが、この季節の最大の楽しみが、野生の苺。背の高い草の根元をかき分けると、小指の先ほどのちっぽけな赤い実が、髪の毛のように細い繊細な茎からぶら下がっているのが見つかります。最初はのこぎりのような葉っぱばかり眼につきますが、いったん目が慣れてくると、その下にひっそりと付いた実がどんどん見つかるのです。ほんの少し触れただけでも、真っ赤な甘い匂いのする果汁が指を汚すほどデリケートな実なので、細心の注意を払って、茎から切り取ります。今年は出かけるのが遅かったので、大部分は既に熟して落ちてしまっていました。地面に落ちたイチゴがゆっくりと腐っていく甘い匂いで、辺り一面がむせ返るような苺の香り。肉と果物は腐りかけくらいがおいしい、と食通は言いますが、やはりそうなのかもしれません。

Bounty

茎まで含めてもお椀に一杯くらいのお粗末な収穫量でした(茎とヘタを取ったら、さらにこの半分くらいになってしまいました)が、家の裏の草原に勝手に生えている野イチゴ、というだけで大感激です。実が小さい分味は凝縮されていて、スーパーで買ってくる巨大な苺の水っぽい味なんてはるか彼方に霞んでしまいます。ぎゅっと甘くて、しかも快い酸味もしっかり。ヘタを取りながらいくつかつまみ、こんなことをしていてはジャムにする分がなくなる(ただでさえ雀の涙ほどしかないのに)、と気付いて自制。お砂糖を加えて軽く煮込んだら、ぐい飲みに一杯くらいのジャムができました。ほんのぽっちり、自然の恵み。

Posted by Yu at 09:14 | Comments (1)