2007年09月06日

スルタンのペペロンチーノ

ちょっと前になるけれど、インド・パキスタン系の人が沢山住んでいるDevon Avenueにある国際マーケット見かけて買ってみたモロッコのオイルサーディン。(今、「老いるサーディン」って出たぞ...それは食べたくないかも。)昔から鯖味噌とか鰯の梅煮とか、缶詰の魚にはあまり食指が動かなかったんだけれど、なんともレトロでエキゾチックなターバンのおじさんの絵柄に惹かれて、ふらふらとかごに入れてしまいました。普通のオイル漬けと、唐辛子入りのものがあったので、辛い物好きの私は迷わず唐辛子バージョンを買いました。

Sultan's Moroccan Sardines

箱を裏返すとアラビア語の表記になっていて、なんだかモロッコの砂漠の中の小さな街に一軒しかない食料品屋の薄暗い片隅に、埃をかぶって置いてありそうな雰囲気。日干し煉瓦でできた、窓もない建物の中には外の息苦しいような熱気も届かず、店主のおじさん(私のイメージではでっぷり系)と近所のおじさん(こちらは痩せぎす)が、一番奥のカウンターに肘をついて、ミントティーをすすりつつ、低い声でなにやらお喋りしていたりして。たかが鰯の缶詰一つでここまで想像の翼を伸ばすか!?って感じですが、ま、$1程度の缶詰でプチ旅行気分が味わえればいいかな、と。

どう食べるかしばらく思いつかず、食料庫に眠っていましたが、キャベツと合わせてペペロンチーノ風にしよう、ということでこの間めでたく発掘。缶を開けてみると、きっと小指くらいのサイズのちっぽけなのが沢山入っているんだろう、という私の予想を覆して、まるまる太った大きなのが二つ、缶からはみ出さんばかりになって入っていました。「犇(ひしめく)」という字を思い出す感じね。ウロコがかなり残っていたので、菜箸でこすって一通り取り除き、油を切って大まかに身をほぐしながら、恐る恐る一口つまんでみました。

そうしたらなんと驚き、美味しいじゃぁありませんか。(美味しくないと思うんならなんで買ったんだ、って感じですが...。)全然魚臭くないし、缶詰特有の変な味もしません。これがほんとに鰯?というくらい、風味はあるのに癖がないのです。これなら変にパスタなんかにしないで、大根おろしにお醤油でも美味しく食べられそう。さすがにこの日はメニュー変更には遅すぎたので予定通りパスタにしましたが、今度買ったら絶対に大根おろしで!と思っています。

Spaghetti Peperoncino with Cabbage and Sardines

スルタンのペペロンチーノ (モロッコサンオイルサーディンとキャベツのパスタ)

オイルサーディンは油を切って、身をほぐしておきます。キャベツはざく切り、ニンニクはみじん切り。パスタを茹でるお湯を湧かし始め、フライパンにオリーブオイルとバターを熱します。お湯が湧いたら、塩ひとつまみとスパゲティーを投入し、フライパンでニンニクと唐辛子を炒めます。

時々スパゲティーをかき混ぜつつ、キャベツを炒め、少し火が通って来たらオイルサーディンを入れます。キャベツの歯ごたえを残した状態の時にパスタがゆであがるのが理想。スパゲティーをフライパンに移し、オリーブオイルと絡め、塩・胡椒して出来上がり。

オイルサーディンの塩気が思ったより薄かったので、もう少しパンチがあってもいいかな、という味になりましたが、キャベツの甘みが引き立つ、ほっこり系のパスタになりました。意外とお醤油を一垂らししても合いそうです。そうなると、モロッコの鰯を和風にイタリアのパスタと合わせる(しかもアメリカ産のキャベツとともに)という、なんとも現代を象徴する、良くも悪くもグローバルな一皿になりますね。

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Posted by Yu at 11:06 | Comments (0)

2007年07月03日

アメリカの味、フライドチキン

今はだいぶ角が取れてきました(?)が、私が子供の頃、うちの母は反ファーストフードの権化でした。そんなわけで、「あんなものは体に悪い!」と息巻く母を説き伏せてごくたまに連れて行ってもらったマクドナルドのハンバーガーや、KFCのフライドチキンなどは、私の中では「ごちそう」のステータスを占めていました。「ファーストフードが世界を食い尽くす」Omnivore's Dilemmaを読んでファーストフードがアメリカのみならず世界の食文化や農業にいかに壊滅的な影響を与えてきたかを憂えている今から思えば笑ってしまいますが、子供の味覚って油と砂糖には弱いんですよね。

...と、偉そうに書いてはみたものの、実は二十ウン歳の今になってもたまに食べたくなるんですよね、スパイシーなフライドチキンとか、出所の怪しいハンバーガーとか。マクドナルドやKFCに行ってもいいんですが、アメリカにはローカルチェーンのファーストフード店が色々あって、全国(もしくは国際)チェーンのファーストフードよりかなりおいしかったりします。そんな中の一つが、ハロルズ・チキン・シャック(Harold's Chicken Shuck)。ハロルドの鶏小屋、という程度の意味のこのチェーン、シカゴのサウスサイドに本拠地があるフライドチキンのお店です。揚げ物狂のアメリカ南部から移住してきた黒人の多いシカゴのサウスサイドが発祥の地だけあって、ハロルズのフライドチキンはなかなかのおいしさ。サウスサイドは治安が悪い、という(現実に基づいた)イメージがあって、ハロルズの噂は聞いたことがあってもずっと足が向かなかったのですが、去年になってパトリックのアパートのすぐそばに一軒支店ができました。ロジャースパークでも、パトリックのアパートがあるモース・アベニュー以北はかなり黒人の人口が多いので、きっと需要があると踏んだんでしょうね。

Harold's Chicken

で、早速行きました(笑)。ホワイトミート(胸肉)かダークミート(腿肉、脚など)かが選べて、ディナーセットにすると、これにフライドポテト、小さなパックに入ったコールスロー、食パンがついて、$5くらいです(安っ!)。コールスローはべたべた甘いし、食パンは安物の代名詞のワンダーブレッドだし、で、フライドチキン以外は大したことがないんですが、さすがに専門店だけあってチキンのおいしさはピカ一。適度な厚さの衣はサクサク、中のチキンはあくまでもジューシー、ぴりっとした胡椒の利いたシーズニングが味を引き締めます。バーベキューソースをちょこっと付けて食べる太めのフレンチフライも、癖になるおいしさ。何より嬉しいのが、注文を取ってから揚げる、というファーストフードには珍しい調理システム。その分時間はかかりますが、揚げたてのおいしさ関しては保温ランプの下に何時間も座っていたKFCのフライドチキンとは比べ物になりません。ハロルズの鶏は皮がパリパリになるまで揚げてあるのも、KFCの柔らかい、脂ぎった皮がちょっと苦手な私には嬉しいところ。

揚げたてを出してくれる以外に、ハロルズはチェーン店には珍しく、それぞれの支店のオーナーの裁量に任せる部分が多いことでも知られています。例えば、(私はロジャースパーク店にしか行ったことがないので、実体験からは言えませんが)、内装はお店によって相当違うそうです。ニワトリ柄のカーテンがかかったロジャースパーク店では、小さな棚に剥製の鶏が鎮座ましましています。何となく田舎風で落ち着く感じ。支店を番号で、しかも一体どういうロジックなのか、ランダムな番号で、呼んでしまうようなエキセントリックさが幸いして、ハロルズにはカルト的なファンがたくさんいます。単なるシカゴのローカル・フライドチキンのお店にも関わらず、ウィキペディアに記事があるくらい(笑)。

大規模なファーストフードチェーンのほとんどが最近の健康志向に追随して植物油で揚げているところを、ハロルズでは植物油と牛脂を半々に混ぜたものでチキンを揚げています。その分コクがあっておいしいのですが、不健康なことは確か。それでも試してみたい、という方は、ウィッカーパークから数ブロック南東に下がったミルウォーキー沿いのお店(1361 N. Milwaukee Ave.)か、ダウンタウンのループから少し西に行ったウェルズ沿いのお店(39 N. Wells St.)が便利(かつ比較的コワくない・笑)と思います。私もルイジアナ・スタイルのフライドチキン・ミックスを買ってきて家で揚げてみたこともありますが、やっぱり揚げ物は外でプロが揚げたのを食べるのがおいしいみたい。とはいえあんまり食べ過ぎるのも良くないので、ハロルズの脇を通る時はあの香ばしくてスパイシーな香りで(ただでさえ旺盛な)食欲が刺激されないように、早足で通り過ぎる私たちです。

Posted by Yu at 16:12 | Comments (0)