今更何も真新しいものではありませんが、明太子スパを作りました。どこかのブログでどなたかが作っていたのを見て、ムラムラと食べたくなって(笑)。日本にいた頃は、明太子スパなんて滅多に食べなかったのに、シカゴに来て「外では食べられない!」と思うと、なんだか無性においしそうに思えてしまういい加減な私です。ちょうど韓国スーパー(いつものH Mart)で買った不揃い明太子が冷凍庫に入っていたので、それを使いました。明太子って、そもそも韓国が発祥の地だったんですね。Wikipediaによれば、江戸時代には韓国から少量ですが輸入していたとか。戦後になって、韓国から引き上げてきた人たちが、韓国で慣れ親しんだ庶民の味を日本人向けに改良して売り出したのが、日本製明太子の発祥なんだそうです。韓国からはフェリーですぐの福岡が明太子の大生産地なのもうなずけますよね。
ともあれ。明太スパ、久しぶりに食べて涙が出るほどおいしかったです。スパゲティーを茹でて、バターと生の明太子を絡め、お醤油をちょっと垂らしたところにのりと紫蘇を刻んで載せるだけなのに、何ともまろやかかつ複雑な味。これってこんなにおいしいものだったっけ、とか思ったりして。パトリックにも作ってあげなくちゃ。(お昼に作って一人で食べたので...笑)
シカゴ郊外の住宅地に住む両親の家の裏が、今は廃線になった貨物列車の線路になっています。廃線になってもう五、六年経つそうで、かつてこの辺りはみんなそうだったという、背の高いガマの揺れる湿地と、これまた背の高いデイジーやアザミが咲き競う草原が、線路に沿って延々とのびて行きます。初夏のこの季節、東側の湿地には、眼の醒めるような朱色が肩に美しいブラックバードが営巣し、西側の小さな林からは鹿が子供をつれて草を食みに出てきたりします。ミツバチがぶんぶん輪を描き、モンシロチョウがふんわりと野の花に着地する脇を、戦闘機のようなごっついトンボがすうっとかすめて通ります。十分ほど南に下がった広い草地は、野兎たちの夕食の場。私が近づくとみんな白いお尻を振って逃げてしまいますが、遠くから見ていると、緑滴るクローバーをほおばって、モゴモゴやっています。
この廃線路沿いのプレーリー(アメリカ中西部に広がる大草原)、バードウォッチングにも最適なのですが、この季節の最大の楽しみが、野生の苺。背の高い草の根元をかき分けると、小指の先ほどのちっぽけな赤い実が、髪の毛のように細い繊細な茎からぶら下がっているのが見つかります。最初はのこぎりのような葉っぱばかり眼につきますが、いったん目が慣れてくると、その下にひっそりと付いた実がどんどん見つかるのです。ほんの少し触れただけでも、真っ赤な甘い匂いのする果汁が指を汚すほどデリケートな実なので、細心の注意を払って、茎から切り取ります。今年は出かけるのが遅かったので、大部分は既に熟して落ちてしまっていました。地面に落ちたイチゴがゆっくりと腐っていく甘い匂いで、辺り一面がむせ返るような苺の香り。肉と果物は腐りかけくらいがおいしい、と食通は言いますが、やはりそうなのかもしれません。
茎まで含めてもお椀に一杯くらいのお粗末な収穫量でした(茎とヘタを取ったら、さらにこの半分くらいになってしまいました)が、家の裏の草原に勝手に生えている野イチゴ、というだけで大感激です。実が小さい分味は凝縮されていて、スーパーで買ってくる巨大な苺の水っぽい味なんてはるか彼方に霞んでしまいます。ぎゅっと甘くて、しかも快い酸味もしっかり。ヘタを取りながらいくつかつまみ、こんなことをしていてはジャムにする分がなくなる(ただでさえ雀の涙ほどしかないのに)、と気付いて自制。お砂糖を加えて軽く煮込んだら、ぐい飲みに一杯くらいのジャムができました。ほんのぽっちり、自然の恵み。
シカゴのループ(ダウンタウンの中でも、CTAの経営する高架鉄道と地下鉄に囲まれた区域)から、ランドルフ・ストリートを10ブロックほど西に行ったウェストタウンと呼ばれる地域は、最近になって再開発の進んだ新しいエリアです。もともと工場地帯だったので、天井の高い工場や倉庫のビルを改装した煉瓦造りのロフトが立ち並び、おしゃれなバーやレストランが軒を連ねていて、垢抜けない私なんかが行ったら場違いなんじゃ、というくらいトレンディーな地域になっています。ここから数ブロック北には、フルトン・マーケットという野菜やお肉の卸売業者が集まるエリアがあるので、ランドルフ沿いにも肉の卸業者が数軒あったり、卸会社で働く人のための安い簡単なレストランがあったりして、これとトレンディーなロフトやレストランとのコントラストを眺めるのも、なかなか面白いものです。
この地域のレストランの客層は、再開発であたりに建った新しいロフトや、ダウンタウンの高級コンドミニアムに住む、若くてリッチなプロフェッショナル。イタリアン、寿司、パン・エイジアン、フレンチ、と、レストランは色々ありますが、共通するのはこの客層に合わせた大袈裟な(?)演出とそれなりのお値段。料理の味より超トレンディーな雰囲気のほうに気が行ってしまっているレストランが多いのですが(というのは毒舌が過ぎるかしらん)、ここにも値段は張るけれどそれなりにおいしいレストランはあります。アメリカ風にアレンジした創作アジア料理のレッドライト(Red Light)や、フランスの大衆食堂の料理を出すマルシェ(Marché)などがその筆頭。(私は行ったことがないので、Chicago Readerという定評のあるフリーペーパーの批評を参考にしています。Red Lightに行ったことのあるパトリックは、「おいしかったよ」と。この二つと、さらに同じ通りにあるイタリアンのVivoは、黒幕が同じだそうです。)
近頃シカゴではスシバーに行くのがかっこいいとされているので、ご多分に漏れずランドルフ沿いにも山ほどヒップなスシバーがあります。(この間ちょっと歩いただけで五軒も見つけました。)その中で、絶対行っては行けないお店が、スシ・ワビ(Sushi Wabi)。ちょっとインダストリアルな感じの店構えはなかなか素敵なのですが、料理のほうはちょっと腹が立つくらいいい加減でした。しかも高いし。
どの料理も、メニューで読む限りはおいしそうなのです。ソフトシェル・クラブの天麩羅に蜂蜜ワサビソース、とか、鮪のたたきにマスタード味噌ソース、とか。ところが実際に出てきてみると、天麩羅はべったり油を吸った重い衣が暑苦しいし、蜂蜜ワサビソースはわさびの辛みは利いているけれどゴテゴテに甘いし(単純にお醤油で食べたほうがずっとおいしかったです)、で、アイディアは良いんだけれどプロなんだからもうちょっと上手にできないの、という感じ。うちの母の揚げる疑問符付きの天麩羅のほうがまだおいしかったりして。ところがこれはまだ良いほうで、鮪のたたきと来た日には眼も当てられませんでした。
そもそも(写真を見ていただければ分かりますが)、鮪のたたき自体が怪しいのです。「さっと炙った」部分が、まるで機械で作ったかのように均一で、しかも炭火の焦げ目もなし。見た感じはまるでハム。で、これを辛子酢みそを濃厚にしたようなソースにつけて食べるのですが、ソースの味が強すぎて鮪の味なんて全く消えてしまいます。でも考えてみるとこれはこのほうが良いかもしれないわけで、なぜかと言うとこの鮪がとにかくひどいのです。おそらく冷凍物を下手に解凍したのであろうと思うのですが、妙にびしょびしょしていて、まるで濡れたスポンジを食べているよう。雰囲気としては、凍った刺身を電子レンジで解凍したら、あらら、端っこに火が通っちゃった、でもまあいっか、出しちゃえ、という感じ。鮪自体の味なんて、解凍したときに水分と一緒に流れ出てしまったらしく、これはとてもきつい味のソースがなければ食べられたものではありませんでした。ああ、こんなもの(しかもたった六切れ)に$8も払ったとは...。付け合わせのわかめの酢の物はおいしかったですけどね。
これ以外に頼んだヅケにした鮭のお寿司(二カンで$9 )と、スパイシーツナ巻きはまだましでした(特にスパイシーツナ巻きは、青臭い新鮮なチリの味がしてなかなかいけました)が、びしょびしょ鮪のヘナチョコたたきのダメージを挽回するまでには至らず。というわけで、皆さんランドルフ沿いのウェストタウンに行くときには、是が非でもスシ・ワビは避けましょう。いくら内装に凝っても、DJを置いても、肝心の料理のほうがイマイチでは、ね。
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ウェストタウンに行くには、ループからならランドルフ・ストリートをひたすら西に歩くだけ。郊外から車で行くなら、I-90/94(Kennedy Expressway)のランドルフの出口を出て、西に向かってすぐ。駐車場は、路上になりますがふんだんにあります。
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