タイのレッドカレーを作ろうと冷蔵庫を漁ると、プチトマトが半パック、パプリカが半分、それにゴーヤが丸ごと一本出てきました。鶏もも肉を解凍して、これで今晩は夏野菜のカレーにすることにします。(本当は茄子も一本出て来たけれど、あまりにも萎びて茶色くなっていたので、涙を呑んでさようなら。)でも、薄い皮がはち切れそうにまるまるとしたプチトマトを見ていたら、なんだかせっかくの夏野菜をカレー味に煮込んでしまうのがもったいないような気がしてきました。ここのところ朝は肌寒いくらいだし、街路樹も所々紅葉が始まって、秋の気配が忍び寄っているのは明らか。もうすぐに元気な地元産の夏野菜なんて食べられなくなってしまうのに、これをクタクタに煮込むのもなぁ、というわけです。
そこで考えたのが、煮込まずにグリルした野菜を、鶏肉のカレーとさっと合わせる、という方法。大胆な大きさに切った野菜をオーブントースターでグリルしている間に、重い鉄のフライパンにパームオイルを熱して、生姜を炒めます。そこに鶏肉を入れ、表面にかりっと焼き色をつけたら取り出し、レッドカレーペーストを炒めます。カレーのピリピリが台所に充満したところでココナツミルクを加え、せっせと混ぜてペーストを溶かします。そこに鶏肉を戻し、中に火が通るまで中火と弱火の中間くらいの火でことこと煮ます。火が通ったら、保温できるくらいのごく弱い火に落としておきます。
そうこうするうちにオーブントースターの中のプチトマトに焦げ目がついて弾けだすのでそれを取り出し、カレーに加えます。次はパプリカ。ゴーヤは意外と時間がかかりました。パプリカとゴーヤもカレーのフライパンに加え、火を強めて全体を暖めれば出来上がり。野菜それぞれの味と歯ごたえを残したいので、カレーに野菜を入れてぐつぐつ煮ることはしません。全体が熱々になればそれでOK。カレーというより、グリル野菜のカレーソース、という感じです。
ジャスミンライスとともにお皿に盛って、Trader Joe'sで買って来たタイ風のライムと唐辛子が掛かったカシューナッツを隣にいくつか乗せて、テーブルへ。思惑通り野菜の味がしっかり残って、歯触りも抜群なカレーになりました。野菜の味はカレーに加わっていないわけですが、鶏肉の出汁と、カレーペーストの複雑な味で十分に美味しく食べられました。(若干カレーペーストの入れ過ぎで泣きそうに辛かったですが...。)完成品の写真は非常に美味しくなさそうに撮れてしまった(泣)ので載せませんが、この方式で作るレッドカレー、かなり気に入りました。野菜を全部入れて煮込むとなかなか難しい火の通り具合の調整も、グリルなら焼けたものから取り出せば良いので簡単。これからはグリル方式がうちのレッドカレーの定番になりそうです。
ちょっと前になるけれど、インド・パキスタン系の人が沢山住んでいるDevon Avenueにある国際マーケット見かけて買ってみたモロッコのオイルサーディン。(今、「老いるサーディン」って出たぞ...それは食べたくないかも。)昔から鯖味噌とか鰯の梅煮とか、缶詰の魚にはあまり食指が動かなかったんだけれど、なんともレトロでエキゾチックなターバンのおじさんの絵柄に惹かれて、ふらふらとかごに入れてしまいました。普通のオイル漬けと、唐辛子入りのものがあったので、辛い物好きの私は迷わず唐辛子バージョンを買いました。
箱を裏返すとアラビア語の表記になっていて、なんだかモロッコの砂漠の中の小さな街に一軒しかない食料品屋の薄暗い片隅に、埃をかぶって置いてありそうな雰囲気。日干し煉瓦でできた、窓もない建物の中には外の息苦しいような熱気も届かず、店主のおじさん(私のイメージではでっぷり系)と近所のおじさん(こちらは痩せぎす)が、一番奥のカウンターに肘をついて、ミントティーをすすりつつ、低い声でなにやらお喋りしていたりして。たかが鰯の缶詰一つでここまで想像の翼を伸ばすか!?って感じですが、ま、$1程度の缶詰でプチ旅行気分が味わえればいいかな、と。
どう食べるかしばらく思いつかず、食料庫に眠っていましたが、キャベツと合わせてペペロンチーノ風にしよう、ということでこの間めでたく発掘。缶を開けてみると、きっと小指くらいのサイズのちっぽけなのが沢山入っているんだろう、という私の予想を覆して、まるまる太った大きなのが二つ、缶からはみ出さんばかりになって入っていました。「犇(ひしめく)」という字を思い出す感じね。ウロコがかなり残っていたので、菜箸でこすって一通り取り除き、油を切って大まかに身をほぐしながら、恐る恐る一口つまんでみました。
そうしたらなんと驚き、美味しいじゃぁありませんか。(美味しくないと思うんならなんで買ったんだ、って感じですが...。)全然魚臭くないし、缶詰特有の変な味もしません。これがほんとに鰯?というくらい、風味はあるのに癖がないのです。これなら変にパスタなんかにしないで、大根おろしにお醤油でも美味しく食べられそう。さすがにこの日はメニュー変更には遅すぎたので予定通りパスタにしましたが、今度買ったら絶対に大根おろしで!と思っています。
スルタンのペペロンチーノ (モロッコサンオイルサーディンとキャベツのパスタ)
オイルサーディンは油を切って、身をほぐしておきます。キャベツはざく切り、ニンニクはみじん切り。パスタを茹でるお湯を湧かし始め、フライパンにオリーブオイルとバターを熱します。お湯が湧いたら、塩ひとつまみとスパゲティーを投入し、フライパンでニンニクと唐辛子を炒めます。
時々スパゲティーをかき混ぜつつ、キャベツを炒め、少し火が通って来たらオイルサーディンを入れます。キャベツの歯ごたえを残した状態の時にパスタがゆであがるのが理想。スパゲティーをフライパンに移し、オリーブオイルと絡め、塩・胡椒して出来上がり。
オイルサーディンの塩気が思ったより薄かったので、もう少しパンチがあってもいいかな、という味になりましたが、キャベツの甘みが引き立つ、ほっこり系のパスタになりました。意外とお醤油を一垂らししても合いそうです。そうなると、モロッコの鰯を和風にイタリアのパスタと合わせる(しかもアメリカ産のキャベツとともに)という、なんとも現代を象徴する、良くも悪くもグローバルな一皿になりますね。
Continue reading "スルタンのペペロンチーノ"子供の頃からレシピ本を眺めるのが好きだった私は、母が持っていた数少ないレシピ本のページをめくっては、作ってほしいメニューにマルをつけたりしていたものです。母はなかなか新しいレシピには挑戦してくれず、ほとんどのマルはつけただけで終わってしまいましたが、大人になってからそんなレシピ本を見返してみると(成長してない!?)、自分の味覚が変わって来たのが分かって、面白かったりします。なんでこんなものが食べたいと思ったんだろう、とか。なんでこんな美味しそうなものにマルをつけなかったんだろう、とか。小学生の自分と、古いレシピ本を通して奇妙な再会です。
子供の頃には全く食欲をそそられなかったけれど、今見ると美味しそう!だったレシピの一つが、カボチャの豆板醤炒め。母が結婚した頃に買ったNHKの「きょうの料理」に出ていたような気が。一人暮らしのアパートから実家に帰った時に写したらしきレシピが、私のレシピノートに残っています。今私が作るものは(セロリが入ったりして)もとのレシピとはちょっと違いますが、大元はこれ。水曜日にグリーンシティ・マーケットで買ったカボチャが、今季初の豆板醤炒めになりました。
カボチャは種を取り、皮がついたまま薄切りにし、食べやすいサイズに切ります。セロリも斜めにざく切り。生姜と葱はみじん切りに。中華スープのもとと砂糖をカップ1/4くらいの水に溶いておきます。
鍋か小さめのフライパンに油を熱し、生姜と豆板醤を炒めます。(豆板醤の辛みがふわっと昇ってくるので注意!間違って吸い込むと咳き込みます。わたしはやった...汗)いい香りがして来たらセロリとカボチャを入れ、油を絡める感じでさっと炒めます。混ぜておいた残りの調味料と葱を加え、水気がなくなるまで煮詰めて出来上がり。次の日に冷えたものをそのまま食べても美味しいし、お弁当にもお勧め。今日もごはんがススムくんで困るおかずです。
セロリを入れるのは母のアイディアだったような気がします。セロリのあのちょっと癖のある味が豆板醤と合って最高です。カボチャだけだと、カボチャの甘みと豆板醤の辛みを繋ぐものがない感じ。その抜けた穴を、セロリの複雑な味が埋めてくれます。思い返してみればワタクシ、この料理がきっかけで二十歳を過ぎてからセロリが食べられるようになった(どころかセロリ大好きになった)のでした。
おまけは、調理前のカボチャ君たちです。
Continue reading "カボチャとセロリの豆板醤炒め"恥ずかしながらずっと作ったことのなかったヒジキの煮物に初挑戦したのは先週も半ば。結構うまくできたのは良かったんだけれど、水で戻したヒジキがどのくらい増えるもんか分かってないにも関わらず、一掴みバサッと戻したのが大失敗。(だって三十グラムなんて言われたって、うちには秤なんてありません!)三十分ほど経って台所に戻ってみたら、直径二十センチくらいのボールに一杯、なにやら黒いものがワッサリと...。それに人参、ごぼう、油揚げに椎茸まで加えて煮たので、できあがりの量はもう殺人的。「バケツ一杯のヒジキ」と呼んでもクレームがつかないくらい沢山できてしまいました。その晩から毎日せっせと食べていますが、まだなくならない。そのままも食べたし、炊き込みごはんにもしたし、あげくの果てはスクランブルエッグにまで入れて朝も食べたのに、まだある。(せっかくだから全部写真を撮って、ブログのネタにすれば良かったかも...ははは)今日は木曜日だから、もう一週間以上アレと戦っている計算に。おいしくっても、髪が黒々艶々でも、さすがにこれだけ毎日食べてると飽きてくる。
というわけで、一昨日の晩はサラダにしました。蓮根をサクサクな食感が残るようにさっと茹でて、これでもかっ!のヒジキに、マヨネーズ、それに麺つゆもちょこっと足して。葱のみじん切りと黒ごまも振りましたが、闇夜の黒牛状態でよくわかりませんね。でもコレ、なかなかいけました。蓮根のサクサクはもともと大好きだし、マヨネーズに麺つゆのコンビももともと大好き。ヒジキ地獄に陥ってなくても、時々作りたい味です。ヒジキ地獄に陥っている場合は、肝心のテキの消費量が少ないのが痛いところですが...。でもこれであと一食分くらいにまで減ったので、今晩私が一人で食べれば片付くはず。広い世界には日本食が食べられなくて寂しい思いをしている人があちこちにいるというのに、ヒジキ地獄だなんて贅沢な話です。
でもここだけの話、母が煮たヒジキにはかなわなかったなぁ。ヒジキ自体を食べた時にはそんなに違いを感じなかったけれど、他の料理にアレンジすると、歴然の差。特に炊き込みごはんにした時に、なんでこんなに違うんだろう?というくらい間の抜けた味になってしまいました。生姜の利きが足りなかったのと、あとはやっぱり味付けかなぁ?う〜ん。「ご飯作るの大っ嫌い」なんて言っているわりには侮れません、うちの母。
------------
本日三時半頃からものすごい夕立でした。大して広くもない通りの向こう側の家が、強風ではためく(?)雨の幕の後ろにかすんで見えないくらい。慌てて家中の窓を閉め、通りに面したサンルームに戻ってみると、すぐ目の前に止めた愛車フォーカス君の左前輪がほぼ半分水没しているではありませんか。さらに慌てて眼鏡を取りに走り、雨垂れで見にくくなった窓から顔をしかめてよく見ると、車高が高めなのが幸いしたのか、本体部分は無事なよう。心配なので大雨の中を検査に走り(って、表のドアからほんの数メートルですけどね)、泥水が車体に侵入していないことを確かめて戻ってきました。私の数台後ろに停めていたホンダのおじさんの辺りはかなり水深も深くて、おじさんは帚を持ち出してせっせと水を排水溝のほうへ押しやっていましたが、あんなんで大丈夫だったのかなぁ。
しばらくすると雨は弱まり、道路の両側のプチ洪水もどこかへ消えて行きましたが、これはひょっとして車をどこか高いところへ移動するべきか!?と、本気で考えました。パトリックが熱帯気候のフロリダに住んでいた頃には、そういうことはよくあったそうです。車で通勤途中に突然雷雨に襲われ、数インチ前も見えないので仕方なくその場で雨宿り、とか、突発的な洪水を避けるために、近所でどの通りがちょっとした雨で水没しやすいかはいつも頭に入っていた、とか。海のないシカゴには台風が来ないので、秋はいつもなんとなく物足りない気がしていたんですが、天候はやっぱりあまりエキサイティングじゃないほうがいいんですね。普段のちょっとした雷雨くらいならそんなに慌てませんが、今日はさすがに車のエンジンがどうなるかと、一瞬ひやっとしました。
日本ではもう「そう言えばそんなものも流行っていたっけ」というくらい昔の話かもしれませんが、私はつい最近知った、なんちゃってキャラメルの作り方があります。普通ならお鍋で溶かして焦げ目をつけたお砂糖に生クリームをジャッと入れて、バチバチはねるのを鍋蓋で防戦しつつ戦々恐々と混ぜて作るキャラメルですが、このやり方だと恐いこと一切無し。なんと、コンデンスミルクを缶ごと2〜3時間茹でるんだそうで。考えてみれば、牛乳と砂糖でできたコンデンスミルクを加熱するわけなので、材料的にはキャラメルができてもおかしくはないのですが、なんとも眼からウロコなアイディア。面白そうなので(暇だし)、やってみました。
ラベルを剥がした缶を熱湯に入れてグツグツすること二時間半。取り分け用の大きなスプーンで缶ごと取り出し、しばらく冷ましてから開けてみると...
なんと驚き、中身はしっかりキャラメル色になっていました。鼻を近付けると、ほんのりキャラメルの香りも漂ってきます。味の方は、もう少しキャラメル特有の香ばしい香りがしてもいいかな、というマイルドなキャラメル味でしたが、2ドル弱の缶をことこと茹でるだけでできるんなら儲けもの。なにしろ一缶あるので、パンに塗ってバナナのスライスをトッピングしたバナナキャラメルトースト、なんて、普段なら絶対にやらない(一見)手のかかった朝ご飯を三日続けて食べてしまいました。それはそれでおいしかったのだけれど、パトリックと二人でトーストに載せて食べているだけではいつまで経ってもなくなりません。で、風呂ランタン...じゃない、フロランタンを作りました。
一番手の掛かるキャラメル部分はもうできているので、生地を混ぜて二度焼きするだけ。手際の悪い私でも30分ちょっとで出来上がりです。子供の頃から、母が時々作ってくれたり、近所のケーキ屋さんで買って来てくれたりしたフロランタンは大好きでしたが、こんなに簡単にできるなら自分でもちょこちょこ作ろう、と思ったりして。出来上がりをつまみ食いしたり、今日の朝ごはんに食べたりして、残りのほとんどは今晩からフィラデルフィアの実家に帰るパトリックに、お土産に持って行ってもらいました。むこうに着く頃には半分くらいになっていたりして(笑)。
--------------
ちょっと粉について。普段はバーモント州に本拠地のあるKing Arthurというブランドのなんでも粉(All Purpose Flour)を使っているのですが、なんでも粉は日本の薄力粉に比べるとグルテンが多いということを最近知り、納得。ちょっと混ぜすぎるとすぐにさざれ石が巌になったごとくの焼き上がりになってしまうのはそのせいだったのか。で、なんでも粉より少しグルテンの少ないペイストリー・フラワー(Pastry Flour)というのを買って来て、それで焼いてみました。ふわふわさくさくのパイ生地を作るための粉らしいのですが、サブレにもばっちりでした。これよりさらにグルテンの少ないケーキ専用粉(Cake Flour)もありますが、少なくともサブレ・フロランタンにはペイストリー・フラワーがいいようです。アメリカでケーキやクッキーを焼いていてうまくいかない方、試してみてください。
昨日うまくできなかった塩漬け鱈のブランダーデ、再生ミッションは成功裡に終わりました。北欧の、じゃがいもとイワシに似た青魚を重ね、生クリームとチーズをかけてオーブンで焼く「ヤンソンの誘惑」という料理を真似て、ゆでて粉ふきいもにしたじゃがいもと、昨日の似非ブランダーデを三層に重ね、プランターで瀕死の状態のローズマリーから血も涙もなく毟ってきた(笑)葉っぱをぱらり、さらに魚の臭み消しのためにガーリックパウダーもぱらり、さらにさらに冷蔵庫の奥で眠っていたパルメザンチーズもぱらり。雲突くような高カロリーのなんちゃってヤンソンの誘惑完成です。
本当は、仕事から帰ってきたパトリックと二人で、ミシガン湖のビーチまでひとっ走りしてピクニックにしようと思っていたのです。冷蔵庫で冷やしたラタトゥイユに、これもしっかり冷やしたシャブリを一本、それにこのヤンソンの誘惑があれば、なんだかリッチなピクニックじゃない、という私の目論見はしかし、「ビーチで飲酒禁止」というなんとも無粋なパークディストリクトの方針により、もろくも崩れ去ったのでした。あーあ。
1930年代には禁酒法まで制定してしまったような国なので分からなくもないですが、アメリカって意外と飲酒に関してはうるさいのです。ビールかっ喰らってバーベキューするのがお国柄かと思いきや、建国当初のピューリタン的なところはアルコールを巡る法制度の中に健在。未成年の飲酒に関しては、見て見ぬ振りの(っていうか、ある意味大人が後押ししちゃうような)日本とは比べ物にならないくらい厳しいんです。他にも、公共の場所でお酒飲んじゃだめ、とか、町によっては日曜日にはお酒買えません、とか(安息日に飲酒とは何事か、ということらしいです)。満開の桜の下とか、ススキのゆれる満月の下とかで宴会なんかしちゃう日本人からすると、ちょっと寂しいんですよね、こういうの。公園の近所に住んでいる人にとっては、怪しい男どもが集まって、酔っぱらってわいわい騒がれては困る、というのは分からないでもないですが...なんせ、普通の人が鉄砲持っていたりする国ですから、酔っぱらってそんな物振り回されちゃ大変ですよね。
で、仕方なくビーチで飲んだくれ乾杯計画は中止(飲んだくれって...私はグラス一杯以上飲めないし、パトリックはいくら飲んでも酔っぱらわないので、飲んだくれにはなかなかなれない二人なんですがね)。裏階段の踊り場に椅子と折りたたみ式の小さなテーブルを持ち出して、気分だけピクニックにしました。(背景はアパートの外壁...)
参考までに、ブランダーデの作り方です。この量で、上に書いたヤンソンの誘惑もどきが二人分強できます。
塩漬けの鱈は、冷たい水を時々換えながら、冷蔵庫で24時間以上戻します。鱈によって塩気も乾燥度合いも違うので、ちょうど良い頃合いを見るには、端っこを切って焼いて食べてみるしかないそうですが、私はめんどくさいので一晩と二日戻してそのまま使ってしまいました。鱈が戻ったら、お湯を沸かし、8分ほど茹でて、ざるに揚げて水気を切っておきます。別のお鍋にオリーブオイルを入れ、煙が出てくるまで熱します。細かく裂いた鱈をこの鍋に入れ、木か竹のスプーンなどでせっせと鱈の身を崩します。最初の数十秒は油がはねますが、そのあとは落ち着くはず。手で崩すだけでは大変なので、スティック式のミキサーを使ってもOKです。鱈の身がだいたい細かくなったら、今度は暖めておいた牛乳を少しずつ加え、オリーブオイルと乳化させます。レシピによってはじゃがいもを入れたり、ニンニクで香りをつけたりするようですが、私が参考にしたレシピは本当にこれだけ。昨日も書いた通り、レストランで食べたブランダーデのようにはクリーミーになりませんでしたが、ヤンソンの誘惑風のグラタンにして食べる分にはこれで十分以上でした。
ちなみにワタクシ式似非ヤンソンの誘惑は、と言いますと...
じゃがいもは3ミリほどの薄切りにして、塩ゆでにする。耐熱容器に、茹でて水気を切ったじゃがいもとブランダーデを交互に重ね、最後にパルメザンチーズ、ガーリックパウダー、それにローズマリーのみじん切りをたっぷり振って、180度(華氏なら350度)のオーブンで焦げ目がつくまで焼く。出来損ないブランダーデが手元になければ作りたくないような、コロッケ並みに手のかかるレシピですが、出来上がったジョンソンの誘惑(アメリカで作った偽ヤンソンの誘惑、ということで...笑)はかなり満足度高し。ほくほくのじゃがいもに塩漬けの鱈の旨味と牛乳のコクが加わり、さらにローズマリーとガーリックが利いて、なんだか心の底からほっとする味になりました。ヨーロッパの田舎のおっかさんが作ってくれそうな料理です。幸い今日は風もあって、そんなに気温も高くない爽やかな日だったので、きーんと冷やした白ワインと一緒においしくいただきました。
ゆっくりと西の空に広がっていく夕暮れの黄金色、南のほうにむくむくと湧き立つ入道雲。近所の家の庭にそびえる大木たちの葉摺れの音を聞きながら舌鼓を打っていると、すぐそばの電線に喉の赤いハウスフィンチのつがいが来て、ひとしきり鳴き交わしてから飛んでいきました。なんて贅沢な時間だろう、と、酔いの回った頭で思います。大事な人と、おいしいものを分け合い、同じ景色を見て感動できるって、素晴らしく幸せなこと。(全く、こんな歯の浮くようなこと書いちゃって、まだちょっと酔っぱらってるかな...でもほんとのことですよね。笑)
先々週の土曜日にグリーンシティ・マーケットでごっそり買い込んで冷凍してあったタート・チェリー(製菓用の酸っぱいサクランボ)で、サクランボのクラフティを作りました。日本でならそのへんのスーパーでも手に入るアーモンドプードルが見つからなくて、スライスしたアーモンドを包丁で細かく刻み、さらにはすり鉢まで持ち出してアーモンド粉から手作りする羽目になってしまいましたが、努力の甲斐あって(?)かなりおいしくできたので満足です。(考えてみれば、一山あったサクランボの種を取るのも一仕事だった...)
レシピは、私の苦手なチマチマした作業がないのにびっくりするほどおいしくできるものが多い「男の料理」の土屋敦さんのもの。(前に作ってみて今や我が家の定番になった豚バラのトウチ蒸しも土屋さんのだったな、と思い出して彼の名前で検索したら、なんと258ものレシピが出てきました。この人、凄い!)もとのレシピは「低脂肪で体に優しい」という名前の通り、生クリームの入らないレシピになっていますが、どうせ食べるんならリッチでおいしいのを少しだけ、が信条の私は、牛乳250mlのうち100mlを生クリームに変更。桃はサクランボに変更。
サクランボのクラフティ(直径25cmの型1個分)
恥ずかしながら果物を冷凍したのって初めてだったのですが、お菓子にしてしまうんなら全く問題ないことが分かりました。つい一昨日まで読んでいたバーバラ・キングソルヴァーのAnimal, Vegetable, Miracleに、夏の収穫期に冷凍しておいた野菜や果物で冬を乗り切る、という話が出てきて、昔母が生協でよく買っていた水っぽいスポンジみたいなミックスヴェジタブルなんかを思い出してゲンナリしていたんですが、同じ冷凍でも使い方によってはちゃんとおいしく食べられるですね。
キングソルヴァーの本は、半径百マイル以内でとれる地元の食材だけで一年間暮らしてみよう、という実験の記録。最近アメリカで関心の高いlocavore運動の一端を担っている本です。巨大企業がその大半をコントロールするアメリカの食、そのひずみが輸送における石油依存、肥満や消えゆく家族経営の農場、さらには化学肥料による土壌破壊といった形で表面化している昨今、地元の農家をサポートしつつ、かつ新鮮で安全な農産物を食べよう、というlocavore運動には、うなずけるところも沢山あります。近所のファーマーズマーケットで野菜を買う以上のことが、実際私たちにどこまで実践できるかは別として、どこで取れた何を食べるかは、社会的かつ倫理的な選択である、というキングソルヴァーの考え方にははっとさせられました。サクランボのクラフティも、なぁ〜んにも考えずにおいしい、おいしいって食べていてはイカンのですね。
今更何も真新しいものではありませんが、明太子スパを作りました。どこかのブログでどなたかが作っていたのを見て、ムラムラと食べたくなって(笑)。日本にいた頃は、明太子スパなんて滅多に食べなかったのに、シカゴに来て「外では食べられない!」と思うと、なんだか無性においしそうに思えてしまういい加減な私です。ちょうど韓国スーパー(いつものH Mart)で買った不揃い明太子が冷凍庫に入っていたので、それを使いました。明太子って、そもそも韓国が発祥の地だったんですね。Wikipediaによれば、江戸時代には韓国から少量ですが輸入していたとか。戦後になって、韓国から引き上げてきた人たちが、韓国で慣れ親しんだ庶民の味を日本人向けに改良して売り出したのが、日本製明太子の発祥なんだそうです。韓国からはフェリーですぐの福岡が明太子の大生産地なのもうなずけますよね。
ともあれ。明太スパ、久しぶりに食べて涙が出るほどおいしかったです。スパゲティーを茹でて、バターと生の明太子を絡め、お醤油をちょっと垂らしたところにのりと紫蘇を刻んで載せるだけなのに、何ともまろやかかつ複雑な味。これってこんなにおいしいものだったっけ、とか思ったりして。パトリックにも作ってあげなくちゃ。(お昼に作って一人で食べたので...笑)
最近よくお邪魔しているYOMEカフェのYOMEさんがよく作っている白玉団子。そう言えばそんな物もあったなぁ、と、子供の頃に母とよく作ったのを思い出しました。私は子供の頃バンコクに住んでいたのですが、何しろ二十年も前の話、日本のお菓子なんて手作りしなければ手に入りませんでした。白玉粉は日本から持ち込んでも悪くならないし、丸めてお湯に落とすだけ、と簡単だし、で、ムシムシと暑い熱帯に住む日本人には格好のお菓子だったんでしょうね。思い出してみると食べたくなるのが食いしん坊の困ったところ。先週、車で一時間近くかかる郊外のスーパーまで、白玉粉を買い出しにいってきました。(どうせミツワまで行くなら、ということで、きな粉やら上新粉やら、いろいろ買い込んできました。みたらしとか、八つ橋とか、いずれ作るぞ!)
これがパトリックの白玉団子デビューとあって、最初はトラディショナルにきな粉で行きました。きな粉の香ばしさと、お砂糖の甘み、それにほのかな餅米の味で、なんとも懐かしい至福の時。でも毎回こればっかりじゃつまらないので(おいしいんだからそれでいいじゃん、と言われればそうなんですけどね)、今日はちょっとひねってみました。
まずは、「宝石芋(Jewel Yam)」というご大層な名前のついた、日本のサツマイモに似たヤム芋を、70度くらいのオーブンで4〜5時間かけてじっくりローストします。低温でゆっくり焼くと甘みが出るので、ここは焼き芋風に。このJewel Yam、日本のサツマイモに比べるとべちゃっとした感じで、煮たり天ぷらにしたりするのには不向きなのですが、オーブンでじっくり焼くと適度に水分が飛んで、芋餡にするのにぴったりの質感になりました。これを小鍋に入れて、お砂糖を加えてしばらく練ります。いい感じの固さになったら、冷蔵庫へ。
次に、小鍋に水少々とお砂糖、輪切りにしてから寝かせた包丁で叩いてつぶした生姜、それにオレンジピールを入れて煮詰め、シロップを作ります。私はショウガのぴりっとした辛さが好きなので、皮もついたまま、どっさり入れましたが、ピリピリの苦手な方は適当に加減してください。これも、出来上がったら冷蔵庫へ。
白玉団子は普通に作り、冷水にとって冷まします。これをお椀に入れ、芋餡を盛り、さらに上から生姜シロップをかけて、出来上がり。何しろ初めて作る物なので、とりあえずは一人で味見。まずは餡を一口。さすがに「宝石芋」だけあって、本当にきれいな橙色です。ゆっくり、ゆっくり焼いたことで、ヤムイモのほのかな甘みが凝縮されて、なかなか行けるアンコになっていました。生姜とオレンジのシロップが、甘いばかりのあんこにアクセントを添えて、まぁ合格かな、という感じにできたので、いずれパトリックにも出してみる予定です。
でも...正直言って、お洒落系のこれより、単にきな粉砂糖や黒ごま砂糖をまぶして食べる垢抜けない田舎のオバチャン風の方がおいしいかも、と思ってしまった私。変わった食べ物大好きだけど、ちょっと保守的になってきたかしら。
たまーに、無性に麻婆豆腐が食べたくなることがあります。日本の中華料理店では定番の麻婆豆腐ですが、なぜかアメリカでは滅多に見かけません。この料理、鉄人シェフの陳健一さんのお父さんが日本全国に広めたそうですが、きっとアメリカにはそういう料理人がいなかったんでしょうね。というわけで、麻婆豆腐を食べるなら自作、というのが我が家の定番。レトルトのソースを使わなくても、家にある調味料でかなりおいしくできるし、何より早いので、大して苦にはなりません。
昨日のお昼に作ったのは、白と緑の麻婆豆腐。夏の昼間にコッテリ茶色の暑苦しげなものを食べるのもなぁ...というわけで、麻婆豆腐を茶色くする二大戦犯、お醤油とオイスターソースにはお引き取り願いました。そのかわりに、母からおすそ分けのあった沖縄の塩と、鶏ガラスープで旨味を出します。お豆腐の白に、たっぷりのネギとニラの緑が映える一品になりました。(だから白と緑の麻婆豆腐。)
アメリカでも、日本食は健康に良い!ということでかなり沢山の種類のお豆腐が売られていますが、日本人が見ると今ひとつ。ステーキにしたりサラダに入れたり、と、使い方が妙(?)なので、基本的に固いのが一つ。"Soft Tofu"と銘打ったのを買っても、日本の木綿豆腐よりもっと固かったりします。アメリカのお豆腐なら、本当に「豆腐の角に頭ぶつけて死んじまえ」るかも(笑)。形はお豆腐みたいだけれど、あの馥郁とした大豆の味がしないのがもう一つ。そんな大味なめりけん豆腐ですが、麻婆豆腐をする時だけは重宝します。というのは、瑞々しい日本のお豆腐に比べて水分含有量が少ないため(だからやたら固いんですが)、水切りをする手間が省けるのです。閑話休題、材料です。
ソースには、1/8カップのお湯に、鶏ガラスープの素、コーンスターチ(もしくは片栗粉)大さじ1、それに豆板醤を小さじ1、あらかじめ混ぜておきます。調味料を全部合わせておくのは、短時間で仕上げるのが勝負の中華料理では基本だそうなので...。
作り方はごく普通の麻婆豆腐と同じです。生姜とニンニクを炒めたところに豚挽き肉を入れて、火が通ったら角切りにしたお豆腐を入れて炒め、ソースを回し入れてとろみが出るまでぐつぐつ、最後にごま油と山椒をぱらり。中国産の山椒から柑橘類につく病原菌が発見されたとかで、アメリカでは、つい最近まで四川山椒の輸入が禁止だったそうですが、今年になってその禁止令も解け、私としては嬉しい限りです。何しろ、これをぱらりとやるだけで、自家製麻婆が何とも本格的な、舌もぴりりと痺れる麻婆豆腐になってしまうので。シカゴにお住まいの方なら、エヴァンストンやオールドタウンに店舗のあるスパイスハウスで、良いものが手に入ります。(スパイス瓶に一杯の1オンスで$2くらいです。)
ミツワ(シカゴ郊外の日本スーパー)で豚のバラ肉を見つけたので、All Aboutにあったレシピでヴェトナム風豚の角煮を作ってみることにしました。豚の角煮を作るのすら初めてなのに、何も最初からエスニックにしなくても、とも思いましたが、このあいだ書いたココナツから作った南ヴェトナムのカラメルソースを使ってみたくて、つい。
カラメルソース以外にお砂糖が大さじ三杯も入るので、こんなに入れて大丈夫なのかしら、と思いつつ、初めてなのでレシピ通りに作ります。豚肉はナムプラー大さじ一とお砂糖大さじ一に、カラメルソースを混ぜたものに漬けておきます。ニンニクの薄切りと黒こしょうで味を引き締めます。冷蔵庫で一時間ほど寝かせたあと、フライパンに油をしいて、豚肉の表面に焦げ目をつけます。漬けだれがはねて大変でしたが、台所の隣のコンピューター・ルーム(本来はダイニングなのですが、窓とコンセントの配置がいいので、書斎兼コンピューター・ルームに使っています)にまで芬々と漂ういいにおいに惹かれて、パトリックが台所にやってきました。ナムプラーとカラメルの焦げた匂いが最高で、これならおいしい角煮ができそう...
漬けだれの残りにナムプラー大さじ三、お砂糖(まだまだ入ります!)大さじ二を加え、別の鍋で暖めます。そこに焼き目をつけた豚肉を投入し、それが半分かぶるくらいに水を加えて、コトコト煮ます。昼間から作り出して時間があったので、豚肉に火が通ったところで火を止め、味をなじませてみました。煮返した煮物がおいしいことにヒントを得て。そのあいだにゆで卵を作って、最後に加える準備です。
五月の最後の月曜日は、アメリカではメモリアルデーという祝日で、皆さんお休み。庭でバーベキューをするのが定番らしく、そこらじゅうからおいしそうな炭火の匂いが漂ってきます。しがないアパート住まいの身、我が家ではバーベキューはできませんが、ご近所さんがわいわいとやっているのが聴こえてくると、なんだかビールが飲みたくなってしまいます。ええいっ、というわけで、五時からビールを開けて、食事の準備を始めてしまいました。アスパラを油を引かずにフライパンで焼き付ける隣で、厚めに切ったサツマイモを焼きます。これに焦げ目がついたところで、角煮の鍋に加えて、味付け。ヴェトナム風の角煮なのに、角煮=鹿児島=さつまいもという連想に歯止めがかからず、おいしそうなので投入。最初は素揚げにすることも考えましたが、しつこくなりそうなのでただグリルにしました。
出来上がったところで、再び乾杯。今日のメニューは豚の角煮(さつまいもと卵入り)、新鮮アスパラのグリル、それにしめじと小松菜の中華炒め。バーベキューができないのは寂しいですが、涼しい夕方の風に吹かれながら飲むビールは最高でした。面白かったのが、角煮に入れたゆで卵。甘みより塩味のほうをたくさん吸ってしまって、なんだかしょっぱくなってしまったのです。子供のころに読んだ『こまったさんのオムレツ』に出てくる、「シオハタマゴニキキスギル」をひたすら繰り返す妙な大鳥を思い出しました。本当に、シオハタマゴニキキスギルんですね。出てくる料理がおいしそうで、何度も何度も読み返した記憶がありますが、今の子供たちにも読まれているのかしら。
--------------------
ミツワ
100 E. Algonquin Rd., Arlington Heights, IL
(847)956-6699
物凄い調味料を見つけてしまいました。
Hマートの東南アジアのソース類を売っている通路で、何気なく手に取ったCoconut Thin Sauce。原材料を見ると、「ココナツジュース、水」とあくまでもシンプルで、ココナツ風味のソースなら面白そう、と買ってみました。(私はバンコクに住んでいた子供の頃からココナツ大好き人間なので、ココナツと見るとついよだれが...。)300グラムで$1.19でした。
家に帰って早速封を開けて、舐めてみると、残念ながらココナツの味は全くしませんでした。Thin Sauceというわりにはかなりどろっとしたソースで、お砂糖の焦げたような、ちょっと癖になりそうな味がします。いったいどんな料理に使うのやら、とインターネットで調べてみると、南ベトナムでよく使われるカラメルソースだ、ということが判明。パトリックの好物で、鶏肉を生姜をきかせたソースの中で土鍋で煮たヴェトナム料理があるのですが、どうやらその独特の風味は、このソースから出るもののようです。さて、これをどう使うか。
冷蔵庫にあった紫キャベツで、野菜たっぷりの汎アジア風チャーハンにすることにしました。まずはこのココナツ・カラメルソースとナンプラーを合わせて、ちょうどいい味のソースを作っておきました。(この時点で既に激うま!)ニンニク一かけを炒めたところに、紫キャベツを入れて、パリパリ感を残す程度に炒めます。そこに、このソースを小さじ一杯くらい入れて味を付けた卵を炒め、ごはんを投入。ネギの小口切りと、細かくきったパクチー(コリアンダー、シラントロー)も入れて、ソースを回しかけます。ごはんが暖まり、ソースの味が全体に絡んだところで出来上がり。
本当なら干しエビも入れたいところでしたが、それは在庫がなかったのでパス。ピーナツもなかったので、まぁこれで良かろう、と、ローストした大豆をすり鉢で適当に砕いてぱらりとかけました。窮余の一策でしたが、これがなかなかアクセントになって正解でした。味のほうはというと、(自分で言うのもなんですが)「えっ、これ私が作ったの?」と思うくらい本場の味で、パトリックともども驚いてしまいました。カラメルの苦みがきいていて、どうしてもお砂糖とナンプラーでは出せなかった深みがあるのです。これって、ひょっとしてアジアン・レストランの秘密兵器だったのかしら、と思いつつ、かなり量のあったチャーハンを二人で完食(半分はキャベツですけどね)。おいしかったぁ〜。パトリックは、これは「アジアン・フードのアトミックボムだ」なんて、物騒なことを言っていました(笑)。
簡単だし(なんと言っても、ナンプラーと混ぜるだけですから)、安いし、家庭料理とは思えない複雑な味が出せるし、このCoconut Thin Sauce、我が家の常備調味料になるのは間違いなしです。シカゴ在住の方なら、アジア系のスーパーに行けば、ナンプラーなどがある棚で見つかると思います。日本では手に入るのかしら?
--------------------
ヴェトナム名:Nuoc Mau Dua (Ben Tre)
製造元:My Thanh Co., Ltd.
H Mart
801 Civic Center Drive, Niles, IL
847.581.1212
旅行の話をちょっと中断して、今日はゴボウの話です。アジア系のスーパーがあって本当に嬉しい!と思うのが、ゴボウを買うとき(他にもいろいろ手に入って便利なものはありますが)。子供の頃はゴボウなんて何がおいしいんだかさっぱり分かりませんでしたが、やはり年を重ねると、この土臭い独特の味は病み付きになります。きんぴらにしたり豚汁に入れたり、これでゴボウがなかったら毎日の食卓がさぞかし寂しいことだろう、と思うと、ややもすると鮮度に疑問符がつくような日本スーパーや、品揃えに波のある韓国スーパーにも感謝の手を合わせたくなります。パトリックも、ばりばりアメリカ人のくせにゴボウは大好物で、きんぴらなど「おいしい、おいしい」といってもりもり食べてくれます。(へんなの。)
そんな我が家で唯一困るのが、ゴボウを一本ずつ買えない、ということ。日本でもだいたいゴボウは二本一組で売っていますが、こちらのゴボウ君はさらに大きな三本一組や四本一組、なんてこともざらで、毎日料理をしない二人家族の我が家では使い切れないくらい。しかしアメリカのゴボウは高級食材なので、無駄にする訳にはいきません。そんなわけで、なんだか端の方がしなびてきたなぁ、なんていう時には、まとめてきんぴらにしてしまいます。味を少し濃いめにしておけば、白いご飯に混ぜて混ぜご飯にしたり、朝の卵に混ぜて和風スクランブルエッグにしたり、で、結構使いでがあります。
これは少し前に作ったきんぴら入りスクランブルエッグ。万能ネギの刻んだのをたっぷり入れて、さっぱり感を出すのがポイントです。きんぴらで十分卵にも味が回るので、それ以外には何も入れません。付け合わせには、これも冷蔵庫の中で若干わびしげな姿になりつつあったさやえんどうを塩炒めにしました。今アメリカでは日本食ブームで、ちょっと小洒落たフュージョン系のレストランなんかにいくと、ソースに椎茸を使ったアメ食が出てきたりしますが、次のクールな食材はゴボウなのでは?と一人静かに思う今日この頃です。(でもまだレストランでゴボウが出てくるのを見たことはないですが。)このブログの英語版が、ゴボウブームの火付け役になって...なんてことはないかしら。
子供の頃、ししとうって苦手でした。父は網焼きにしたししとうをビール片手に生姜醤油でおいしそうに食べていましたが、味覚がお子ちゃまだった私は、あんな苦いだけのもの、何がおいしいんだろう、と思って見ていました。(なぜかピーマンは大好物でしたが...)それが大人になってみると、あの苦みがとてもおいしく感じられて、網焼き生姜醤油にビール、なんて言われるとそれだけで眼が輝いてしまいます。
驚いたことに、シカゴでもししとうは手に入ります。(ころころしていて可愛いので、このブログの英語版にも、てっぺんのバナーに写真を使ってしまいました。)最初はアーリントンハイツの日本スーパー(ミツワ)で買っていましたが、最近になってもっと近くのHマートでも手に入ることが分かって、近頃は専らそちら。アメリカのスーパーらしく、ごろんと山積みになった中から好きなだけ買えるのも、Hマートの嬉しいところです。
ブログ用の写真を撮った日は、網焼きに生姜醤油、という夏らしい天気でもなかったので、冷蔵庫にあった茄子と、鶏腿を使って味噌炒めにすることにしました。味噌だれは、お味噌大さじ一にみりん大さじ一、それに醤油を小さじ一くらいで、適当に作りました。この量で二人分です。一口大に切った鶏肉は、塩胡椒とごま油、片栗粉代わりのコーンスターチで和えておきます。この一手間で、鶏肉のうまみが逃げず、しっとりぷりぷりのプロ風の味になります。フライパンに油を熱し、生姜のみじん切りを入れて香りを出したところに、銀杏切りの茄子と、種を取って二つに割ったししとうを入れて、炒めます。半分かた火が通ったら、鶏肉を加え、鶏肉にもほぼ火が通ったところで味噌だれをジャッと回し入れます。全体に味がまわったら火を弱め、蓋をして二、三分蒸し煮にして、出来上がり。
この日は、スープボウルにご飯をよそった上にこれを載せて、どんぶり風にしました。これ以外に何もおかずがないところが手抜きシェフですが、おいしかったですよ。(アメリカ人は一から手作りのゴハンが出てくるだけで感動してしまうので、おかずがたくさん並ばなくったって大丈夫。そう言う意味では日本人のダンナより楽ちんです。)あぁ、すてきなどんぶりが欲しい...とず〜っと思っているのですが、何しろこちらには素敵な器なんて全く売っていないので、次回日本に帰る時までそれはお預けです。ラーメンを食べるのでも浅いスープボウルでは、雰囲気がどうも...
うちから車で十五分ほどの郊外にある、韓国系の巨大スーパーマーケット(Hマート)で、新鮮な鯛を見付けたので、今夜はそれを使って夕飯にしました。塩胡椒をした鯛に小麦粉を軽くはたいたところに、トムがスパイス・ハウスで買ってきてくれたアラビア風のカレーパウダーをたっぷり振って、オリーヴオイルでソテーします。そのあいだに、7ミリほどの銀杏切りにした大根とじゃがいもを、ニンニクと一緒にバターで炒めます。ひたひたになるくらいのお水とチキンブイヨン少々を足して、火を弱めてくつくつ煮ます。出来上がる五分前くらいになったら、さやえんどうと、窓際のプランターからむしってきたセージの葉を何枚か加えて、香りを付けて出来上がり。
鯛のほうは火が通ったところでお皿にあげて、鯛を焼いたフライパンに白ワインとバター、アラブ風カレーの粉を小さじ一杯くらい足して、ソースを作りました。このカレー・ミックスはラス・エル・ハヌート(Ras El Hanout)、といって、アラブ圏でよく使われるミックスです。物の本によると「そのお店にある最高のスパイスミックス」という意味なんだとか。サフランの黄色がとてもきれい。カルダモンをはじめとしてインドのスパイスがたくさん入っていて、シルクロードの交易を彷彿とさせるような、インド風の味がします。今私たちが楽しむ各国の料理に、何百年も前の文化的、経済的交流が反映されているって、面白いですよね。ソース用に開けたから、というのを口実に、グラス一杯ずつ白ワインをいただいてしまいました。
シカゴではなかなかおいしい魚が手に入らないのですが、今夜の鯛は身もしまっていてなかなか美味。そのへんのスーパーにあるような、買ったすぐから既に生臭くて、火を通すともとの半分くらいに縮んでしまうような魚たちとは大違い。Hマートが最近できたおかげで、手頃な値段でまあまあ新鮮な魚が手に入るようになって、助かります。干物なんかは売っていないので、やはり恋しくなりますが...。
でも今日のハイライトは、鯛よりも野菜のバター煮のほうでした。(私がもともと野菜狂なせいもありますが...。)セージの香りがほんのりする中に、大根(これもHマートで買った、ずんぐりむっくりの韓国大根です)の苦みが利いていて、いくらでも食べられてしまいそうでした。今度は大雑把に切った大根にラス・エル・ハヌートを混ぜたひき肉を詰めて、オーヴンで焼くファルシもいいかも...
ブログの日付を見ていてはたと気づきました。今日はこどもの日なんですね。ゴールデンウィークということすら忘れていました。日本に住んでいれば嫌でも気付くのに、こちらでは気をつけていないと季節の行事も忘れているうちに通り過ぎて行ってしまいます。その分、アメリカの季節行事があるといえばそうなのですが、なんだかちょっと寂しい今日このごろ。
-------------------------
H Mart
801 Civic Center Drive, Niles, IL
847.581.1212
Spice House
Evanston: 1941 Central Street, Evanston, IL
847.328.3711
Old Town (Chicago): 1512 N. Wells Street, Chicago, IL
312.274.0378
| Sun | Mon | Tue | Wed | Thu | Fri | Sat |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |