2007年08月26日

毛だらけアパートでさんまのチゲ

パトリックは毛深い。毛深いアメリカ人のイメージに違わず、胸から背中から腕から肩から、とにかくミッシリ生えている。(それでどうして頭にはないのか、は謎。)

パトリックの猫も毛深い(あたりまえ)。しかも、ものすごく毛が抜ける。のっしり膝に乗ってくるので撫でてやると、抜けるわ抜けるわ、あっという間にゴルフボール大の毛玉が二つ三つ取れる。こんなに抜けててどうして禿げないんだろうというくらい抜ける。

毛深いのが大小二匹いるので、うちの床は毛が凄い。毎日掃き掃除をしても、もわもわした猫の毛とくりくりのパトリックの毛が絡み合ったものがごっそり取れる。毎日。さらに近頃私が長髪なので、黒々と丈夫なそれも加わって、うちの床はけっこう毛だらけ。

それは前のアパートも同じだったのだけれど、新しいアパートには更なる敵がいる。砂埃だ。

地上四階の雲上人だった前のアパートに比べ、地上二階の今のアパートは地に足がついている。地面に近い分、土埃と砂埃は五倍増し(推定)。このアパートは一戸建てサイズの建物の一つの階全部を占有する形になっているので、窓が四方にある。風通しが信じられないくらいいいのは嬉しいのだけれど、風が運んでくる砂埃も信じられないくらい凄い。毎日のようにせっせと拭き掃除をしても(そういうこともたまにはある)、次の日にはもうじゃりじゃりいう。家の中では裸足派の私が、サンダルでウロウロするくらいだ(そうしないと足の裏が五分で真っ黒になる)。

Spicy Korean Soup with Pacific Saury

そんなじゃりじゃりした家にパトリックがいない日の夕飯は、さんまのチゲ。「げっぷが魚臭い」と言われてしまったさんまの南蛮漬け以来なんとなく遠慮して青魚は出していなかったので、かなり久しぶり。「食べられないことはない」らしいけれど、そんなに好きでもないものを頻繁に出すのはかわいそうなので遠慮していたのだけれど、魚好き、しかも青魚好きの私としては寂しかった。で、キムチと葱とニラをごま油で炒めたところにお水を入れ、さんまをいれてチゲにした。コチュジャンがないので、お味噌と豆板醤にお砂糖をたして似非コチュジャン風味で。

二日目、残ったさんま(二匹分使っちゃったもんね)の身をほぐして、そのために多めに炊いておいたご飯でチゲ雑炊に。卵を落とし、仕上げに海苔をたっぷり、さらにごま油もたら〜り。死ぬほど美味しかった。というか、一日目のチゲより二日目の雑炊のほうが遥かにおいしかった。韓国風の雑炊に海苔を入れたのは初めてだったけれど、これがめちゃくちゃ合う。もうこれからの人生、海苔なしの韓国雑炊は考えられないくらい(いちいち大袈裟...笑)。あぁまた食べたい。パトリックが帰って来たら、さんまじゃなくてなにか他のもので作ってやろっと。

あぁそれにしてもこの毛地獄、何とかならないのかしら。さっき掃いたのにもうふわふわ漂ってるよ...

Posted by Yu at 18:20 | Comments (0)

2007年07月16日

栓抜き探偵

昨日行ったVoloのアンティークモールの話を書こうと思っていた今日。ところが、引っ越し目指していらない物を捨てるべくゴソゴソしていて、台所の引き出しでちょっとした物を見つけてしまったので、路線変更です。これもある意味アンティークだし...。アンティークモールもとても面白かったし、戦利品もあるので、いずれまた書きますね。

Sapporo Bottle Opener

で、何を見つけたかというと、これ。サッポロビールの景品らしき、栓抜きです。たかが栓抜き、と言うなかれ。何しろここは日本から6000マイルは離れた異国の地、しかも所有者は正真正銘のアメリカ男児(最近パトリック=日本のおっさん疑惑はありますが...笑)。去年私と一緒に里帰り(?)した以外は日本に行ったこともないはずのパトリックが、いったい何故サッポロビールの栓抜きを持っているのやら。しかもこの栓抜き、かなり古そうなんです。昔おじいちゃんがこんな栓抜きでビール開けているのを見たような気がするんですが、ついているタグがまた古そう。片方は「リボンシトロン」なる清涼飲料水らしき名前に、そのPRキャラであると思われる大きなリボンをつけた女の子の絵がついていて、もう片方はサッポロラガーの缶のデザインになっているんですが、こんな缶見たことないぞ!というレトロなデザイン。一体いつごろの物なんだろう、と気になって、ちょっと調べてみました。

Bottle Opener Detail

まずはこの「リボンシトロン」、私はてっきり昭和の頃に作られていてもう何年も作られていないような物かと思いましたが、なんとびっくり今でも売っているそうです。もっとびっくりなのは、その歴史の古さ。明治42年に、健康飲料として初めて製造されたんだそうです。確かにその頃のヨーロッパでは、温泉地などの自然に二酸化炭素を含む水を健康のために飲んでいた、と聞いたことがありますが、まさか明治時代の日本に炭酸の入ったソーダを売っていたとは思いもしませんでした。なんともハイカラではありませんか。

栓抜きのタグについていた女の子(リボンちゃん、というらしい)は、昭和32年に広告用に採用されたそうです。このディック・ブルーナの絵を彷彿とさせるリボンちゃん、最近になって広告に復活したそうなので、日本にお住まいの方はご存知かもしれませんね。ニュージーランドでその当時放映されていたアニメのキャラクターを少し改良した、ということですが、今そんなことをしたら早速著作権の侵害で訴えられてしまいそうです。のどかな時代だったんですね。このリボンちゃんがタグについているということは、問題の栓抜きが作られたのは昭和32年以降、ということになります。もう少し年代を絞れないかな、ということで、もう片方のビール缶のデザインの方も調べてみました。(グリーンカードを申請中の関係で労働許可のない私、時間だけはたっぷりあるんです...涙)

真っ赤な北極星に、金色のS字カーブが缶全体を青と白に二分するなんとも昭和モダンな感じのデザインは、母の古〜い料理本の広告ページに出てきそうな雰囲気ですが、なんと高名なアメリカの工業デザイナー、ウォルター・ロンドー氏がデザインした物なんだそうです。(日本航空のマークや、WWFのパンダのマーク、さらにはセヴン・アップの缶やケロッグのコーンフレークの箱などをデザインしたのもロンドー氏です。どうやら、ブランド認識と商品デザインを戦略的にリンクさせるというアイディアの先駆者だったらしいです。)それまで瓶しかなかったサッポロビールが、缶入りを採用したのは1959年。初期の缶にはプルタブがついていなくて、ビールを飲むには缶切りで二カ所に穴を開け、コップに注いで飲んでいたなんて、知りませんでした。よく見ると、栓抜きのタグの缶にもプルタブがありません。オリジナルの缶のようです。と、言うことは、この栓抜きはプルタブ缶が導入された1965年以前のもの、という可能性が高そう。

そんな、少なくとも40年以上も前の日本の栓抜きがどうしてアメリカにあるのかは依然謎なのですが、一番怪しいのはパトリックのおばあちゃん。若い頃にお掃除サービスで働いていたという彼女、顧客にもらったという妙な物をたくさんパトリックに遺しているのです。タイ製の、先に小さな仏陀の座像がついたカトラリーのセットとか、像を載せても壊れないくらい頑丈な、とんでもないオレンジ色の机とか。なぜか使い込んで茶色くなったササラまであって、付き合いだした当初にこれを見つけたときは笑ってしまいました。くれる方もくれる方だけれど、使いもしないのにとっておく方もとっておく方だな、と。でも、こんな妙にアジアンな物たちを遺していったパトリックのおばあちゃんなら、ひょっとしてサッポロの景品の栓抜きを持っていても不思議はないかも、と思うのです。だいたいそんな昔にサッポロビールがアメリカに輸出されていた、なんて話も聞かないし...。

ともあれ、なんだかおばあちゃんの、今は取り壊されてしまった家の狭い四畳半に鎮座していた古い安物の茶箪笥を久々に思い出させてくれたこの栓抜き(その茶箪笥の二段目の引き出しに、おじいちゃんの栓抜きが入っていたはず)、必要度は限りなく低いけれど、捨てられません。いつもパトリックがしょーもない物を捨てないのでカッカしているのに、これに関しては私がpack rat化。(ネズミが巣の中に食料を溜め込むように、家の中にどんどん物が溜まっていく人のことをアメリカではこう呼びます。なんだか微妙に可愛いイメージですよね。)この栓抜き、せっかくレトロな可愛いタグもついているし、なんとか飾れる方法を探してみるかな...。

Posted by Yu at 17:24 | Comments (0)

2007年06月07日

世界の家族が食べるもの

TIME誌が、「世界の家族が食べるもの」という写真特集をやっています。その栄えある(?)巻頭を飾っているのが、なんと日本の家族。小平市にお住まいのウキタさんご一家です。チャドの難民キャンプに住む一家(穀物の袋が二つ、豆らしきものが一袋、それにちっぽけな野菜の袋がいくつか)から、クゥェートの一家(石油成金っぽいぴっかぴかの台所に、ラムの足がどーんと一本、それに野菜がどっさりと、スパイスミックスらしき紙パックがごろごろ)、果てはこれでもかっ!とばかりに加工食品ばかり並んだアメリカの一家(椅子にかけた二人の息子が、誇らしげに巨大なピザを二つ抱えています)まで、世界の様々な国の家族が、その一週間に食べる食品とともに、写真に納まっています。これは、既にになっているHungry Planetというプロジェクトの一部だそうです。日本語版も出ています。面白いことを考えつく写真家もいるもんですね。

文字通り山積みの食品を見ると、たった一週間でこんなに食べるものなんだ、というのがまず驚きですが、さらに面白いのが、台所の様子、家族構成の違いや、加工食品の比率、さらには主食の違いなど。例えば、イタリア人はパスタ食い(失礼!)の印象がありますが、イタリアの家族の写真にはパンがどーんと正面に出ています。メキシコ人の家族の写真には、信じられない量の果物が映っています。12人の拡大家族が大量の野菜と一緒に写ったエジプト人の家族の写真には、白いターバンのようなものを頭に巻いたおじさんが、家父長然とした厳しい目をして立っているし、エクアドルの9人家族は、煙にすすけた土壁に藁を敷いた土の床のちっぽけな家の真ん中で、何とも嬉しそうに微笑んでいます。いろんな国があって、いろんな人がいて、いろんな食生活があるんだなぁ、とつくづくと思わされる特集です。とは言うものの、「好きな食べ物」の欄に出てくるのは、なんだかアメリカナイズされた加工食品が多いのも、また考えさせられるところ。何がおいしくて、何が幸せなのか。

さて、この16組の家族の中で、一番食費が高かったのは、どこの国だと思います?

それは、ジャーン、日本のウキタさんご一家でした!生活費が高いのもありますが、やっぱり日本人はグルメなのかしら。

Posted by Yu at 18:49 | Comments (0)

2007年05月31日

忘れられた菜箸

ニューヨーク・タイムズに、最低限の台所用品を二百ドル以下でそろえる、という記事が出ていました。包丁なんか十ドルの安物で十分、とか、まな板なんてプラスチックでよろしい(そうすりゃ食器洗い器で洗える)、とか、結構ラディカル(?)なことも書いてありましたが、料理をしないので有名なアメリカ人向けの台所用品にしては、結構そろっているかな、という印象です。

その中で、台所や食をめぐる文化の差を決定的に感じてしまったのが、「何にでも使えるトングを一つ」というところ。私だったら絶対菜箸!ですが、やはり東アジア以外の人に取っては、トングであって菜箸じゃないんでしょうね。ソースを混ぜることから、野菜を和えたり、炒めたり、卵を溶いたり、果ては天ぷらだってできてしまう、考えてみれば菜箸ってすごい。ひょっとすると私の台所用品の中で一番活躍しているのが菜箸かも。(鍋つかみが見当たらないと、菜箸でベーキングパンを引っ張りだしたりしてるし...でもこれは少々無手勝流ですね。)スペインでホームステイしていたときに、「日本料理を作ってよ」と言われて鮭の混ぜ寿司を作ろうとしたものの、菜箸がないので往生したこともありましたっけ。薄焼き卵を作って上に載せようと思ったのですが、とてもじゃないけどフォークで薄焼き卵はできませんでした。

そもそもアメリカは、世界中からの移民が寄り集まって住んでいる国。さすがに第三世代ともなれば食生活もアメリカ化してくるとはいえ、そんな多彩な食文化が混在する国で、「台所に最低限必要なのはこれ」なんて断定的なことを言ってしまっていいのかしら、と思わないでもありません。イタリア系アメリカ人なら「なんでパスタメーカーが入ってないんだ!」と思うでしょうし、アラブ系アメリカ人なら「なんでスパイスを碾く石の器が入ってないんだ!」と息巻くかもしれません。記事は、ナントカ系が頭に付かない、単なる「普通のアメリカ人」向けに書いてある、ということなんでしょうが、同じDining and Wineのセクションで多彩な食文化を喜んで消費しているようなニューヨーク・タイムズに載っている記事だと思うと、なんだかなぁ。

Posted by Yu at 17:12 | Comments (0)

2007年05月14日

ニセ鯛騒動

日本と違って、全国に流通する新聞よりも地方紙が多いアメリカ。シカゴには、トリビューンとサンタイムズと、メジャーな新聞が二つあります。トリビューンは本格派の新聞、サンタイムズはどちらかと言うとタブロイド的に下世話な新聞、という住み分けをしているようです。どちらもジャーナリズム的には大したことのない新聞なのですが、何事に付けても体制すり寄り的でいい子ちゃんなトリビューンに比べて、タブロイド的な分、サンタイムズには時々肝っ玉の据わった暴露記事が出ます。そんなサンタイムズ、先週はシカゴのお寿司屋さんの台所事情を暴露していました。

記事によると、サンタイムズ記者がシカゴのお寿司屋さん十四軒で鯛を注文してDNAテストにかけたところ、九軒で出てきた「鯛」はティラピアだったとか。記者の書き方を見ると、どうやらお寿司屋さんたちも驚いたようで、納入業者が鯛の注文にティラピアを納入することもあるみたいです。納品された魚を見て、鯛だかティラピアだか分からない、というのも、寿司職人としてはちょっとどうなの?と思いますが、これもアメリカのお寿司やさんだから、しょうがないのでしょうか。

状況をさらに混乱させているのが、日本で「鯛」と呼ばれる魚が、アメリカではなんと呼ばれるか、という問題。私が行ったことのあるお寿司やさんやスーパーでは、「鯛」は普通Red Snapperと訳されていますが、日本で言う「鯛」の正しい英語名はSea Bream。Red Snapperは似て非なる魚です(おいしいですけどね)。Sea BreamよりもRed Snapperの方が知名度が高いのでそちらを使っているようです。あるお寿司屋さんは、忠実に「鯛」をSea Breamと訳してメニューに載せたところ、Red Snapperが欲しい、というリクエストが殺到、仕方なくRed Snapperに表記を変えた、という話もあります。

日本でも一頃、似て非なる魚に知名度のある魚の名前をつけて売っている、ということが問題になって法律までできましたが、アメリカでもそのような方向に進んで行くのかもしれません。根本的なところでは、おいしい魚が乱獲で減ってしまい、それに似たものをまだ壊滅的な打撃を受けていない漁業域から運んでくる、というのが一番問題なんですが...。あと数十年したら、養殖魚以外の魚は絶滅してしまうんじゃないか、という話もあったりして、魚好きとしては悲しいところです。日本食の文化を世界に広めるのは良いんですが、それで魚好きが増えてしまうと、魚を巡る競争も激しくなって、結局損をするのは生態系なんですよね...。

Posted by Yu at 11:05 | Comments (0)