2007年06月18日

行ってはいけない

シカゴのループ(ダウンタウンの中でも、CTAの経営する高架鉄道と地下鉄に囲まれた区域)から、ランドルフ・ストリートを10ブロックほど西に行ったウェストタウンと呼ばれる地域は、最近になって再開発の進んだ新しいエリアです。もともと工場地帯だったので、天井の高い工場や倉庫のビルを改装した煉瓦造りのロフトが立ち並び、おしゃれなバーやレストランが軒を連ねていて、垢抜けない私なんかが行ったら場違いなんじゃ、というくらいトレンディーな地域になっています。ここから数ブロック北には、フルトン・マーケットという野菜やお肉の卸売業者が集まるエリアがあるので、ランドルフ沿いにも肉の卸業者が数軒あったり、卸会社で働く人のための安い簡単なレストランがあったりして、これとトレンディーなロフトやレストランとのコントラストを眺めるのも、なかなか面白いものです。

この地域のレストランの客層は、再開発であたりに建った新しいロフトや、ダウンタウンの高級コンドミニアムに住む、若くてリッチなプロフェッショナル。イタリアン、寿司、パン・エイジアン、フレンチ、と、レストランは色々ありますが、共通するのはこの客層に合わせた大袈裟な(?)演出とそれなりのお値段。料理の味より超トレンディーな雰囲気のほうに気が行ってしまっているレストランが多いのですが(というのは毒舌が過ぎるかしらん)、ここにも値段は張るけれどそれなりにおいしいレストランはあります。アメリカ風にアレンジした創作アジア料理のレッドライト(Red Light)や、フランスの大衆食堂の料理を出すマルシェ(Marché)などがその筆頭。(私は行ったことがないので、Chicago Readerという定評のあるフリーペーパーの批評を参考にしています。Red Lightに行ったことのあるパトリックは、「おいしかったよ」と。この二つと、さらに同じ通りにあるイタリアンのVivoは、黒幕が同じだそうです。)

近頃シカゴではスシバーに行くのがかっこいいとされているので、ご多分に漏れずランドルフ沿いにも山ほどヒップなスシバーがあります。(この間ちょっと歩いただけで五軒も見つけました。)その中で、絶対行っては行けないお店が、スシ・ワビ(Sushi Wabi)。ちょっとインダストリアルな感じの店構えはなかなか素敵なのですが、料理のほうはちょっと腹が立つくらいいい加減でした。しかも高いし。

Dubious Seared Tuna and Soft Shell Crab Tempura

どの料理も、メニューで読む限りはおいしそうなのです。ソフトシェル・クラブの天麩羅に蜂蜜ワサビソース、とか、鮪のたたきにマスタード味噌ソース、とか。ところが実際に出てきてみると、天麩羅はべったり油を吸った重い衣が暑苦しいし、蜂蜜ワサビソースはわさびの辛みは利いているけれどゴテゴテに甘いし(単純にお醤油で食べたほうがずっとおいしかったです)、で、アイディアは良いんだけれどプロなんだからもうちょっと上手にできないの、という感じ。うちの母の揚げる疑問符付きの天麩羅のほうがまだおいしかったりして。ところがこれはまだ良いほうで、鮪のたたきと来た日には眼も当てられませんでした。

そもそも(写真を見ていただければ分かりますが)、鮪のたたき自体が怪しいのです。「さっと炙った」部分が、まるで機械で作ったかのように均一で、しかも炭火の焦げ目もなし。見た感じはまるでハム。で、これを辛子酢みそを濃厚にしたようなソースにつけて食べるのですが、ソースの味が強すぎて鮪の味なんて全く消えてしまいます。でも考えてみるとこれはこのほうが良いかもしれないわけで、なぜかと言うとこの鮪がとにかくひどいのです。おそらく冷凍物を下手に解凍したのであろうと思うのですが、妙にびしょびしょしていて、まるで濡れたスポンジを食べているよう。雰囲気としては、凍った刺身を電子レンジで解凍したら、あらら、端っこに火が通っちゃった、でもまあいっか、出しちゃえ、という感じ。鮪自体の味なんて、解凍したときに水分と一緒に流れ出てしまったらしく、これはとてもきつい味のソースがなければ食べられたものではありませんでした。ああ、こんなもの(しかもたった六切れ)に$8も払ったとは...。付け合わせのわかめの酢の物はおいしかったですけどね。

これ以外に頼んだヅケにした鮭のお寿司(二カンで$9 )と、スパイシーツナ巻きはまだましでした(特にスパイシーツナ巻きは、青臭い新鮮なチリの味がしてなかなかいけました)が、びしょびしょ鮪のヘナチョコたたきのダメージを挽回するまでには至らず。というわけで、皆さんランドルフ沿いのウェストタウンに行くときには、是が非でもスシ・ワビは避けましょう。いくら内装に凝っても、DJを置いても、肝心の料理のほうがイマイチでは、ね。

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ウェストタウンに行くには、ループからならランドルフ・ストリートをひたすら西に歩くだけ。郊外から車で行くなら、I-90/94(Kennedy Expressway)のランドルフの出口を出て、西に向かってすぐ。駐車場は、路上になりますがふんだんにあります。

Posted by Yu at 08:22 | Comments (0)

2007年05月25日

ダウンタウンのおいしいワインバー

郊外に住んでいる私の両親にとって、ウィッカーパークやレイクヴューのようなおしゃれなレストランのたくさんある地域は、気にはなってもなかなか行けないところです。駐車場の問題もあるし、かといって公共の交通機関を使って行けば、一度ダウンタウンに出て、それから戻る形になってしまうし、で、億劫になってしまうのも分かります。距離的には遠くても、逆にダウンタウンに出るほうが楽だったりします。そんな両親が都会に出てくると(笑)、せっかくダウンタウンに来たのだから、なにかおいしい、変わったものを食べたい、ということになるのですが、困ったことにシカゴのダウンタウンにあるのはほとんどが超高級料理店か、大して面白くもないどこにでもありそうなレストラン(しかも往々にして高い!)。アメリカ人でもこう思っている人は沢山いるんじゃないかと思いますが、ダウンタウンでおいしくて、肩の凝らない雰囲気で、かつ良心的な値段のレストランを探すのはなかなか大変なのです。

Table Setting at Avecそんなダウンタウンで、自信を持ってお勧めできるのがAvec。とあるシカゴの女性向けの情報誌でインターンをしていたときに、過去の記事の中から見つけたお店なのですが、ちょっとおしゃれだけど気取らない、かつおいしい料理を出してくれる、何とも嬉しいワインバーです。場所も、郊外通勤列車Metra(メトラ)の、Oglvie駅のすぐ裏、という便利な立地で、ダウンタウン探索の後にちょっと寄ってお腹を満たすには最適です。

このAvec、Blackbirdというシカゴでは評判の高い(こちらはかなり高級)レストランの弟分のような存在で、Blackbirdのオーナーやシェフが考案した独創的な料理を、より気軽に食べられます。ウナギの寝床のような細長い店内には、カウンターが一つと、これまた細長い木のテーブルが壁に沿って並び、隣に座った人と肘付き合わせて飲む、という方式になっています。仕掛けは居酒屋のようですが、自然な色の木と、緑のガラスを中心とした店内は、とてもモダンな空間。メニューには、フランス、イタリアにスペインを中心とした百種近いワインに合わせて、地中海を囲む国々の料理にヒントを得た創作料理が、大皿と小皿に分かれて並んでいます。

Carafe of Caldoraここでは、タパスバーのように、大人数で行って適当に見繕って注文、出てきたものをみんなで分けて食べる、というのが正しい食べ方。周りを見回しても、みんなそうしています。料理を決めて、ウェイトスタッフに聞くと、どんなワインが合うか教えてくれます。我らがウェイター君の勧めに従い、私たちは、ペッコリノというチーズみたいな名前のブドウから作った、カルドラというイタリアの白ワインで始めることにしました。飲んでみると、さっぱりと辛口で、かといってつんけんしたところがなく、後味はかすかにフルーティー、とてもおいしいワインでした。小さなカラフェで頼みましたが、辛口白ワイン好きの私としては、大きなほうにしておけば良かったかしら、と思ってしまいました。

私がAvecに行ったのは二度目でしたが、平日の五時半頃にもかかわらずほとんどの席が埋まっていて、しばらくすると列ができるほどのにぎわいでした。(ダウンタウンのワインバーなので、ひょっとすると平日のほうが混んでいるのかもしれません。)そんなこともあって料理が出てくるのには若干時間がかかりましたが、ワインを飲みながら周囲のおしゃれなお客さんを観察したり、一緒に行ったパトリックと彼のお姉さんと下らない話をしているうちに時間はあっという間に経ってしまいます。最初に出てきたのが、スモークした豚肉とブラック・アイド・ピーを使ったサラダ。一緒についてくるフォカッチャ風のイタリアンパンがとてもおいしくて、何度もお代わりしてしまいました。

Escarole Salad and Rustic Bread

さっぱりしたサラダと一緒に出てきたのが、ブランダーデというフランスのクリームソースのようなもの。塩漬けにした鱈を戻して、じゃがいもを加え、牛乳や生クリームで煮込んだ、かすかに潮の香りのするリッチなクリームを、かりかりに焼いたトーストにつけて食べます。なんだか知らずに頼んだのですが、これが大当たり。カロリーやらコレステロールやらを考えると、とても食べられた代物ではありませんが、塩漬け鱈に生クリームがとにかく良く合って、これだけあればパンをいくらでも食べられそうでした。塩漬けの鱈はなかなか手に入りませんが、塩鮭なんかで代用できるのかしら、なんて考えつつ食べました。

Brandade Homemade Red Wine Sausage

ここでワインを赤に替えて(銘柄は忘れました)、次の皿を待ちます。しばらくして出てきたのは、赤ワインを使った自家製ソーセージに、ピスタチオと黒ぶどうのプリザーブが載ったもの。ローズマリーの香りのするポレンタにのっていました。味の組み合わせ的にはそんなに感動するほどではありませんでしたが、お肉の粗挽き感が、やっぱり自家製な感じでなかなか。

最後はタスマニアの鱒をケイパーでソテーしたもの。ちょっとぴりっとするスパイスで味付けしてあって、臭みもなくおいしく食べられます。マスタード・グリーンという独特な味のする野菜と一緒に。上にのった素揚げのレモンが「!」でした。

Tasmanian Trout with Chili Ginger Sauce

Avecでは頻繁にメニューが変わるので、私たちが食べたものがいつもメニューにあるとは限りません。(前回行ったときに食べた、ホースラディッシュとパースニップのピュレとコクのあるチーズにルッコラがごっそりのったブルスケッタがとてもおいしかったのですが、豈図らんやそれは既にメニューから消えていました。)大のお気に入りの料理ができてしまうと辛いところですが、毎回違うものが試せるのは嬉しい、とあって、これも一長一短。基本的には何を頼んでもおいしいんですけどね。今回私たちが頼んだのはみんな小皿料理でしたが(サイズ的には日本の小さめの一人前くらいの量があります)、他のグループのチョイスを横目で見たところ、ピザやパスタなどの大皿料理もおいしそうでした。小皿は8〜10ドルくらい、大皿は12〜15ドルくらいで、四人で小皿を四つ五つ取れば、かなりお腹いっぱいになります。今回はみんな腹ペコだったこともあって、三人で85ドルとちょっと高めになりましたが、これでワインもコーヒーもデザートも入っているんですから、文句は言えませんよね。

大皿と小皿以外にも、好きなものをチョイスできるサラミやチーズのプレートなどもあります。チーズのプレートを頼むと、そのチーズに合わせて杏のジェリーやナッツといったおまけがついてきます。う〜んおいしそう。シカゴのダウンタウンに行くときには、ぜひ試してみてください。

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Avec
615 W. Randolph Street
312.377.2002

Oglvie駅からだと、駅の西側の通りを北上して、Randolphで左折して西に向かいます。そこから数ブロック行った左側(南側)の、大きなガラス窓のお店です。ループからなら、Randolphをひたすら西に進むだけ。簡単です。

Posted by Yu at 15:56 | Comments (0)